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2009.06.14

ソニー役員との対談 1

欧米のビジネススクールに行く前にやっていおいたほうがいい、とよく言われるのが「日本の研究」。ということで、日本の代表的なエレクトロニクス会社であるソニーの執行役員の方と対談して来ました。

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この方は大学のサークルの先輩(といっても20年くらい上ですが)で、とても後輩の面倒見がいい。「ソニーについて勉強できるいい本ないですか?」と聞いたところ「俺が講義してやるから本社に来い」と言ってくださったので、甘えさせていただきました。

巷のソニー本はやはり盛田昭夫、井深大という2大創業者に焦点を当てているものが多いのですが、この方のお話はもっと大局的な観点でかつ地に足のついた議論をしてくださり、勉強になりました。

1.ハードとソフトのシナジー

ソニーという会社は1975-1985のいわゆる「VHS VS ベータ戦争」の前と後で性格が異なっている。それ以前は『鉄(=磁気テープ)』に強く、独自規格よりも汎用性の高いフォーマットを採用し『シェアを追及する会社』だった。

ところが、ベータという独自規格を追求した結果負けた。最大の敗因はソフト業者(ハリウッド、レンタルビデオなど)の支持を得られなかったこと。この後ソニーはソフト業者との関係を深めていく、それがCBSレコード・グループ(現、ソニー・ミュージックエンタテインメント)/1988年と、コロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメント(現、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント)/1989年の買収の背景である。

1980年代からソニーは音楽業界と良好な関係を築き、CDという規格をスムーズに普及させることができ、音楽業界とその果実を分け合うことができた。シェア追求よりも『市場の創造と拡大』という戦略に転換したとも言える。その後、DVD、ブルーレイについても順調に標準規格を確立している。

2.デジタル技術のインパクト

1990年代に繁栄を謳歌したソニーだが、二つのインパクトが経営に大きな影響を与えた、そのひとつがデジタル化である。かつてのアナログ技術は1人の技術者が天才的なひらめきで新方式を開発することもあり、生産方式は他社が真似をすることが難しかった。言い換えれば参入障壁を築くことが容易だった。

一方デジタル技術は基本的にオープン。例えばいろんな業者からパーツを買ってきて組み合わせれば、テレビが作れてしまう。当然製品はコモデティ化(=メーカーごとの違いがない)し価格競争に陥っていく。

また、ひとつの半導体のTVチップをつくるのに300~400人の技術者が取り掛かっている。必然的に革新的な新技術というのはうまれにくい。さらに、この半導体製品は安定的に生産しているときにもっとも単価が下がるという特徴があり、需給に応じて生産量が調整できない。ある程度商戦期に向けて作りだめしておくため、想定量が売れないと膨大な在庫償却の評価損が発生する。これが前年度の大赤字の原因である。

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