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2010.01.25

インターネット広告業界(日本)について

せっかくグーグルの話が出てきたので、若干インターネット広告について思うところを。

僕は広告業界出身ではあるけれども、実は個々のメディア事情にはそれほど詳しいわけではない。テレビに関しては放送局で仕事をしている人たちの方が詳しいだろうし、インターネット広告もバナーとリスティング(検索連動型広告)を売ったことはあるが、ネット専業で働いている人ほど詳しいわけじゃない。

それでも僕の優位性があるとしたら、広告業界を俯瞰で眺めたり、メディア事情を相対的に考えられることだろう。実はテレビ局やインターネット広告業界の人たちは横断的な知識に乏しかったりするし、クライアント対応を直接しない(大体代理店の人間がやる)ので、ちょっと意見が偏っていたりすることがある。

で、このご時世、ほとんど全ての媒体の売上げが前年割れする中で、インターネットだけが前年比プラスだ。すばらしい。とくに検索連動型の伸びが著しい。まだまだ業界の規模は伸びていくだろう。電通だって社長がことあるごとにデジタルデジタルいってるぐらいだ(もっとも彼の『デジタル』が何を意図しているのかは正直よく分らないのだが)。

ただ、業界規模が拡大している=魅力的な業界とは限らない。

そして、インターネット広告業界はいまのところ全く持って魅力的な業界ではない。僕は若者諸氏が働くことはお勧めしない。というのも、まさに現在の日本のネット広告は労働集約産業、プレイヤーが多すぎて収益性が本当に低いのだ。

まず、既存広告業界同様に大きく媒体(Yahooやグーグル)と代理店(CCI、DAC⇒電通、博報堂)に分けよう。

言うまでもなく、広告価値とは媒体の魅力に対応している。ここで人をひきつけられれば、そういう人たちを目当てにしている広告主もひきつける。日本で圧倒的なポジションを築いているYahooは高収益企業だ。実際にYahooの純利益は電通を抜いている。

しかし、その他の媒体はかなり有象無象。いくつかの限られた有名媒体を除けば、損益分岐点を越えるのがやっとか、もしくは赤字だろう。グーグルでさえ日本では成功しているとは言いがたい。

代理店側も同様だ。というのも、実はネット専業の代理店が差別化するのは非常に難しいからだ。何を持って『提案』するのだろう。サイトをちょっとかっこよく作ったり、OLを使った企画モノを作ったり、タレントをひっぱってきたりすることはできる。ただ、やはりテレビや雑誌のコンテンツの力を借りなければ、広告主を惹きつけるだけの企画をつくることは難しいというのが実情だ。

結果として何がおこるかというと、若者がせっせとクリックレートのレポートをつくったり、使いまわしの企画書のあて先を変えて、代理店ないしはクライアントに届けるということがおこる。

・差別化が難しい(有名媒体を除く)

・プレイヤーが多い

この状況がもたらすのは、必然的にマージンが低い。完全競争=利潤ゼロに近い状態だ。

さて、そんな中で電通や博報堂の大手広告代理店がどう対応しているかというと、完全アウトソース。電通はCCI、博報堂はDACという子会社を使い(使わざるをえず)、ネット広告業務を行っている。給与体系も本社の正社員とは分かれている。

たしかにネット広告は市場規模が伸びているので発表されるたびに注目される。”マスメディアがインターネットにおびやかされる”という話も10年前からほとほと聞き飽きた。が、インターネットの部署に行った僕の同期がぼやいてたように、

「ネット広告なんてやるもんじゃない。」

というのが今のところの現実だ。

※今後の動向に関してはもうちょっと考えます・・・

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