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2010.01.30

英語の語彙

最近自分自身はサボっているけど、英語学習において、単語を暗記することの重要性は強調しすぎても強調しすぎることはないだろう。単語を知らなければ、聞けないし、読めないし、話せない。

ちょっとグーグルで検索してみたところ、こんなサイトを発見した。英語を母語とする人の語彙は4万~5万語だという。もちろん、受けた教育や職業によっても違うが、他のサイトでも似たようなこと(大抵情報の出所はCambridgeなどの辞書)が書いてあるので、大体この近辺の数字なのだろう。

一方、学習指導要領によれば、日本の中学生が学ぶべき単語は、基本語約1000語。ある調査によれば、日本人の大学生の平均語彙数は3700程度だという(Mochizuki and Aizawa 2000)。

たとえネイティブの語彙が5万語だとしても、通常使用する単語はそれよりもはるかに低いだろう。果たして個々の単語の使用頻度がどれくらいなのか、というのが気になるところ。出所が古いが、これまたある調査(Kucera & Francis 1967)によると、雑誌記事や新聞記事の単語使用頻度を調べたところ、

最高頻度語彙数
カバー率
135
50%
2,500
78%
5,000
86%
10,000
92%

という結果がでたそうな。つまり、1万語で大体世の中の英語文章の9割以上がカバーできる。最高使用頻度の単語は"the"ということでした。さらに、米国の主婦が2時間電話でしゃべっても、使っている単語はわずか500語程度らしい。しかし、これをもってして、「なーんだ、俺は既に8割ぐらいカバーできるのか。なーんだ、日常会話は500語ぐらい使いこなせればいいのか。」とはいえない。

まず、「基本の500語」の使い方のバリエーションが結構広い。よく知られている例として、”make”は「作る」以外にもいろんな使い方があり、"make it"といえば、「それを作った」ということを意味する場合はあまりなく、「何かに成功する(授業に出席する、試験に受かる)」ということを意味する。ちょいマニアックだが、テニスで"Made that two points"というと、文脈にもよるが「ブレイクポイントを2回免れた。」ということにもなる。

他にも、"pass"はもちろん「pass an extra copy(余った資料ちょうだい)」という場合にも大変よく使われるが、"pass away"で「亡くなった」という意味があり、誰かが死んで、敬意を払う必要がある場合にもよく使う。社会人同士の会話であれば、"He is dead"というと、違和感があるケースの方が多いのでは。つまるところ、基本の500語を使いこなすためには、やっぱり相当な訓練と知識量が必要になるのだ。

そして、残りの「基本語以外の言葉」についても、「日本の大学生が80%ぐらいカバーしてれば、大体OKではないか」といえないのがつらいところである。ためしに、普通の大学生に「タイム」や「エコノミスト」を読ませても、とても十分な理解に至らないだろう。「英文読解において未知語の割合が延べ語数の2 パーセントを超えた場合,十分な内容理解は困難である」との主張もあるぐらいなのだ(Nation 2001)。この計算によれば、20%も分らなければ、皆目検討もつかないことになる。

個人的な経験に基づいていえば、多分「述べ語彙数の2パーセントを超えた場合に内容理解が困難になる。」というのは正しいと思う。例えば、英語のケースを読んでいても、知らない単語に出会う頻度は、実はそう多くない。僕の場合は、分野にもよるが、1段落で1語あるかないか。1ページで大体5個以下。多ければ10語以上というところだろう。

まず5語以下だったら、辞書を引く必要は多分ない。他のところを読むだけで十分に内容がわかる。しかし、10語だと、だいぶ内容理解があやしくなり、20語だと「大体こんなことを言っている。」というレベルであり、細部を聞かれても答えられなくなる。その他の何百語の単語の意味が全て分っていたとしても、だ。

日本の英語教育がよくない、何年たっても使えるようにならないとはよくいわれることではあるが、そもそもある程度自由にコミュニケーションができるようになるまでには、上記のように相当な土台が必要で、学校の授業程度の時間では、絶対数が足りないと思う。

「中学校から大学までやく10年勉強したのに。」とはよくいわれるが、そのうち英語学習に使っている時間など、ほんのわずかだ。日本語と英語は、共通点が極めて少ない”遠い”言語であるとはよく言われることであり、旅行をする程度ならともかく、ある程度のコミュニケーションをしようと思うのなら、そもそもこの程度の勉強量で足りるはずもない。

ということで、こんなにブログを書いている時間があれば、単語のひとつでも覚えなくては・・・、と思いつつ、いつも挫折してしまうのでした。

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コメント

留学2年目のK子です。
私も英単語の語彙力はとても重要だと思います。

以前どなたかに、「語彙力なんて…」と言われたことがありますが、
そう思う方は広辞苑を最初から最後まで眺めてみて頂きたいです。

よほど特殊な言葉以外、それに載っているほとんどの言葉を知っているはずです。

ネイティブスピーカーの語彙力とはこういうことか、と思います。

>日本の英語教育がよくない、何年たっても使えるようにならないとはよくいわれることではあるが、そもそもある程度自由にコミュニケーションができるようになるまでには、上記のように相当な土台が必要で、学校の授業程度の時間では、絶対数が足りないと思う。

その通りだと思います。週1回のレッスンで喋れるようになるなんてとんでもない幻想で、それを1000年間続けたって喋れるようにはならないと思います。

投稿: K子 | 2011.02.14 01時02分

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