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2010.02.28

イスラエルも負けてない

先日はロシア人の暴れっぷりを紹介させていただきました。ツンドラの厳しさに鍛えられた人間はやはり一味も二味も違いますが、中東戦争に鍛えられたイスラエル人も負けてはおりません。

そもそも想定人数から大幅にオーバーしたために、全員参加予定のツアーをひとつ、早い者勝ちにせざるを得ない状況になりました。他にも色々方法を検討したのですが、結局僕の意見を通させてもらいました。みなさんすいません。

さて、時間もないので早速参加者全員にメール「これこれの日時で申し込みフォームのリンクを書いたメールを送るので、行きたい人は入力してください。今回は予定を変更してしまってすいません。色々考えた結果、この方法が一番フェアだろうという結論になりました」と送ったところ、さっそくイスラエル人から返事が。

「その時間は俺は家にいない。イスラエルから帰る飛行機にのっている。よってフェアじゃない。」

フェアかどうかはおいといて、まぁそういう人もいるよなぁ、申し訳ないなぁ、と思って読んでると、彼からのカウンターオファーが。

「だから次のうちのどれかの対応をしてくれないか。

  1. 次の日の夜なら多くの人がメールをみてるはずだ、時間を変えてくれ
  2. 他の方法、例えばジャパントリップのサインアップ時の順番でどうだ
  3. リストに自分とパートナーの名前をいれといてくれ

うーむ、最初の提案はともかくとして一番最後はすごい。臆面もなく言い切るところがすごい。トヨタのリコールにつっこみをいれて、色々要求をするアメリカ議員の姿が思い浮かびました。

結局その時間に家にいる人を探してあげて、代わりにその人が入力できるからいいよね、ということで納得してもらったのでした。

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2010.02.26

ジャパントリップ準備中

ただいま3月末のジャパントリップに向けて、準備が忙しくなっております。出席者の確認、ホテルの手配、訪問先との調整などなど・・・。更新がやや滞ってすいません。

昨年は30名弱だったのですが、今回の最終参加者はなんと81名!これから何名かやむをえない事情で参加できなくなったとしても、70名後半は固いところです。やっぱ日本人の女の子がオーガナイザーにいるかいなかは大違いですね。

日本人の女の子のいないクラスは女の子の参加者ゼロで「なんで独身の女の子が少ないんだ!」というクレームがあったとかなかったとか。えー、それって僕達のせいなんでしょうか。

そもそも50名で想定していたので(それでも実績を考えると目標値としては高めだったのですが)、関係各所に増員の再調整&お願いをしているところです。個人的なつてで無償協力をいただいているところも結構あり、ありがたいことと日々実感するところです。

ジャパントリップが大盛況になったせいで、例年行われていたアフリカトリップが今年は中止に追い込まれてしまいました。もっとも、オーガナイザーの女の子は「これで私もジャパントリップ行けるわ!」って喜んでましたけど。

さて、これだけ人数が多いと、必然的に確認事項のメールを送っても返信してこない困った人たちが出てきます。国籍で人を色分けするのはナンセンス、というのが基本的な僕のスタンスなのですが、統計学的にありえない確率でインド人がこの困った人たちに含まれてるような気がします。

感覚的ですが、10人ぐらいレスポンスの良くない人や、締め切り後にどうしても参加したい、とか言ってくる困った人たちがいたら、半分ぐらいインド人のような・・・。もちろんインド人の参加比率が特別高いわけではありません。僕がインドで仕事をしてたクライアントのインドの人たちは、みなさんスマートできっちりしてましたけど、この差はなんなんでしょう。

さらに強烈な異彩をはなっているのがロシア人。といってもこいつは特殊すぎるような気がしますが。「日本の芸者は64の芸を持っていると聞いている。自分が作ったチェックシートを持っていってチェックする」と意気込んでいるそうな。いったいお前はいつの時代の人間なんだ。

さて、僕個人もこういう機会でもなければいかないようなところ、広島とか、皇居の中とかが含まれているので、色々とやることはありますが個人的には楽しんでおります。参加者は元々親日の人たちばっかりですが、さらに日本の評価をあげるべくがんばりたいと思います。

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2010.02.21

英語は奥が深いぜ

up という単語を知らない人は多分いないでしょう。be動詞を知らない人もいないでしょう。

で、"are you up for saturday night?" と話しかけられたら、何のことでしょうか。僕が先日実際に話しかけられたときは

 (心の声) 今アップ?ラップ?っていった?
        土曜の夜がなんだ?なんかあったっけ?
 (実際の声) 「せいいっとあげいん」

 「are you up for saturday night?」

 (心の声) やっぱどうもアップって聞こえるなぁ。
        どういう意味だ?
        土曜の夜に予定あるかってきかれてんのか?
        確か予定あったよな。
 (実際の声) 「そーりー。あい はぶ あん あぽいんとめんと。」

 「OK, next time」

ということで、どうやら合っていたらしいです。 ちなみに実際はもうちょっとやり取りをしましたので、こんなにぶっきらぼうでもないです。

帰って調べてみたところ、up for で「~する気力がある。~にむけて意気込む」という意味だったみたいですね。文脈からどうやら「土曜日の夜に飲みにいく?」という意味でした。一応当たらずといえども遠からず。しかし、こういうカジュアル(だと思うのですが)な表現の方が難しいですね・・・。

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2010.02.20

続・アカウンティングの授業

トヨタネタが続きましたが、このブログの本来の趣旨であるLBSの生活に戻ります。引き続き今学期一番スパイスの効いているアカウンティングの授業のご紹介を。

何がすごいって、英語で言うとサーカスティックな(=NGではないが、嘲っている調子。冷笑的でエッジの効いた表現)話術が、もはやウリになっています。一例ですが教授が

「それでは、今回のケースを要約してくれる者はいるか?」

と質問しましたので、一人の生徒が手を挙げて答え始めました。それがちょっと冗長な要約だったので、あまり後半はみんな聞いていません。終わったところで教授曰く、

「ありがとう、すばらしい要約だった。実に。ほとんど全部をカバーしているよ」(教室苦笑)

という感じです。

今回の減価償却費の話でした。このブログに興味のある方は減価償却の基本概念は恐らくご存知かと思われますので、説明を省きますが財務諸表上の減価償却費の計上については、経営者の裁量の余地が多いそうです。つまり、

 1.その資産(建物なり工場なり)の想定使用年数は何年か

 2.その資産の減価償却後の最終的な残存価値はいくらか

 3.その資産の価値の磨耗計算方法はなにか(定率、定額など)

このうち、耐用年数と残存価値についてはとくに主観的なので、これらをいじることで、財務諸表上のパフォーマンスを「調整」することができるそうです。

「企業が減価償却の方法を変更したときは要注意だ。なぜなら企業は本当の理由を言わないからだ。公表理由は常に、『業界標準に従った』か『再検査をした結果』のふたつだ。では、実際にみてみよう。」

ひとつの例として挙げられたのが、イギリス空港会社。空港会社なので、当然滑走路とターミナルビルが主な資産になります。1988~1990年にかけて、各施設の耐用年数が劇的に変化しています。

1988
1989
1990
ターミナル
16年
25年
50年
滑走路
23.5年
50年
100年

当然ながら教授は絶好調です。

「まずもともとの耐用年数をみてみよう。ターミナルビルは16年、滑走路は23.5年だ。多分ここのエンジニアは優秀だったんだろう。端数まで算出した、実に正確な数字だ。

ところが、1989年に突如耐用年数が2倍に延びた。公表された理由は『施設状況を再検査したため』だ。正確な数字のはずが、施設を再検査したらいきなり寿命が2倍になったのだ。

1990年になると、さらに耐用年数が2倍に伸びている。このときも公表された理由は『施設状況を再検査したため』だ。この会社が雇っていたエンジニアが毎年何十年もの計算ミスをおかしたのでなければ、多分経営陣がうっかり言い忘れていることが他にもあるだろう

実際はこの後ヒースロー空港のターミナル5の建設を予定していたため、その減価償却費のマイナスインパクトを和らげるために一気に耐用年数を100年まで延ばしたそうです。この話を一歩進めると、過去は16.5年の耐用年数でも大丈夫だったのに、今後はダメだということで、将来的な収益率の低下を経営陣が認めている、ということでした。

とかくMBAのメリットというと、収入があがるかとか、卒業後いい職につけるとか、出世できるかなどの点に注目がいきがちですが、そもそも本来の趣旨である”経営者として必要な基本知識をパッケージで教える”という点では効率は悪くないな、と思うのでした。

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2010.02.17

豊田社長の英語はひどいのか

トヨタネタが続きますが、色々と示唆に富むので、お付き合いください。本日は豊田社長の英語応対について。

何気なく日経のWEB配信ニュースをみていたら、BBCの記者から「海外のユーザーに向けて英語でメッセージをください」とリクエストされました。おぉ、どうすうのかなと思ってみていたら、一応英語で応対しましたが、それをきいてちょっと驚きました。別に英語がしゃべれたからでもなく、流暢だったからでもなく、典型的なジャパニーズアクセントで文法の間違いも多く、普段しゃべりなれてないことが明白だったからです。

僕も人様の英語スピーキング能力にコメントできるほどの立場でもないので、あえて何もコメントしなかったのですが、当然ながら批判的なお方もいらっしゃいまして、アルクのコラムニストの日向氏はこのような言説を展開しています。

彼の主張は、「英語が流暢でないのはしょうがないとしても、あのような大事な記者会見の場で、怪しげな英語で解答をするなどもってのほか。そもそも英語のQ&Aを用意してないのが大失態なのだが、仮になかったとしたら、記者のリクエストにはNOといって、通訳を使うべきであった」というものです。

心情的には同じ英語で苦労しているもの同士、豊田社長にシンパシィを感じておりましたが、日向氏の主張は筋が通っているように思えます。せっかくLBSにいるので、ネイティブスピーカーとノンネイティブスピーカーの友達にこの件についてどう思うか聞いてみました。

アメリカ人たちは、概して英語の問題には寛容です。

「そもそも英語話者は他人が英語を話せて当然とおもう傾向があってよくないわ。外国語をきちんと話せないのは当然じゃないの」

「確かに彼の英語はひどい。もうちょっとましな言葉をしゃべるべきじゃないのか、といわれたら答えはYesだ。ただ、彼のCEOとしての職責と英語は何の関係もない。問題の本質はそこにはないと思うよ」

「例えば、ああいう場面で"I will do my best"といわれたら、そりゃちょっと変だよ。でも、強いて言えばであって、ことさら取り上げてとやかく言うほどのもんでもないだろ」

という感じでした。ひるがえって、ノンネイティブスピーカーの意見はほぼ日向氏の意見と同じです。

「彼がLBSの生徒だったなら、別になんの問題もない。しかし彼はグローバル企業のCEOだ。もっとましな英語がしゃべれてしかるべきだ。さらに、もし仮にしゃべれないとしたら、あの場面では絶対に通訳を使うべきだった。英語がしゃべれないということをアピールすることになってしまうが、変な誤解をされるよりましだろう」

ただこの事件でひとつありがたい(?)のはMBA取得者は英語をしゃべれて当然という幻想が否定されたことでしょうか。豊田社長は米国のMBAを取得されてるそうです。

今は昔と違ってそもそも帰国子女でないとアプリケーションが通る可能性が低いので、こちらにきている日本人はみな結構しゃべれます。ただ、中には僕のような人もいまして、それまでに海外経験がないと、2年ぐらいだとなかなか上達させるのは難しい、というのが実感です。

さらに、同じ年数を使うにしても、やはり学部時代に留学するのと大学院で留学するのはこれまた違うように思えます。ある程度社会人経験をつんでからくると、各々の生徒達の生活スタイルができあがっているため、無駄につるむということがあまりありません。その分、語学の上達という点では妨げになります。

ということで、2年間海外にいたとしても、あまりしゃべれないというのは決してめずらしくないように思えます。個人的にはこっちにいる間に最大限努力するつもりですが、「海外MBA=英語ペラペラ」という方程式は必ずしも成り立たないというのが事実だと思います。

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2010.02.13

ギリシャとポルトガル

この二つの国の共通点ってなんでしょうか?

そう、どちらもユーロの加盟国であり、巨額債務を抱えており、デフォルトリスクがささやかれております。イギリスはいまだにユーロに加盟せず、独自通貨のポンドを堅持しているのですが、さすがにギリシャがデフォルトするとひいてはヨーロッパ全体にその影響が波及しかねないために、無関心ではいられません。

個人的には、LBSのジャパントリップの前にこんなことになり、ポンドが安くなって困っているのですが・・・。

さて、ここ2日ばかし、トヨタに代わってギリシャ問題がトップニュースになっているので、いつもどおりポルトガル人のリカルドに

「おい、なんかギリシャも大変だけど、お前の国も大変そうだな」

と話しかけると

「なんだ知らなかったのか、俺の国はいっつもギリシャとユーロ圏の最下位を争ってるんだぜ」

となぜか自信ありげ。

いや、全然自慢にならないから。

「でもギリシャが破綻したら、信用不安がポルトガルにも波及するだろ。心配じゃないの?」

「うむ。我々はギリシャに勝てば『やったぜ』と酒を飲み、ギリシャに負ければ『ちくしょう』といって酒を飲む。いい国だろ?

さすがかつては世界の海を支配した国。日本人もあと300年ぐらいすれば、これぐらい鷹揚になれるかもしれない。

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2010.02.12

役員の個別報酬開示

今週末のファイナンスの試験を控えて、ひたすら図書館でお勉強中です。

さて、息抜きに日経を読んでいたら、日本で役員の個別報酬開示を義務付ける制度が導入される予定で、それに対して経済界が反発(具体的に誰が反発しているのかは明記されてませんが)しているそうな。

そういえばこっちにきて財務諸表をみていて驚いたのが、役員の個別報酬が全て開示されていること。日本だと総額しか公表されません。僕も詳しいわけではありませんが、ボーナスシステムなども合わせて開示することで、会計の不正操作(いわゆるお手盛り)を防ぐ狙いがあるのでしょう。

で、日経のロジックとしては「日本と欧米は違って、経営者がそんなに巨額の金額をもらっているわけじゃないので、開示する意義があるのか疑問だ」という主張です。なんとなくこれって反論としては弱いような気がします。確かに欧米ほどは開示する意義は低いかもしれませんが、従前よりも透明性が高まるのであれば推進すべきでは。カイゼンの精神で。

もちろんプライバシーの問題もあるので、自分の懐具合を開示するのは誰だっていやでしょう。しかし、企業経営者には、その社会的地位に応じて高い倫理観が求められると思うのです。実際に自分たちの利益のために経営者が財務諸表を偽ったり、会社を私物化する事件は後をたちません。

僕が仮に役員だったら、開示されるのは心理的には気がすすみませんが、原理的な不都合はないように思えます。こっちのカルチャーに染まったかな?

「自分たちはそれだけの価値を出しているんだ」と役員たちは堂々と主張すればいいし、株主や投資家はそれをチェックする。赤字をだしたり、個別に貢献してない役員がいたら、報酬をカットする。むしろそうした方が健全な姿であるように思えます。

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2010.02.10

トヨタの続報

プリウスのリコールが続いたので、相変わらずこっちでもトヨタの件はニュースになってます。ただ、最近ほんのちょっと報道の風向きも変わってきたかなぁ、という印象もあります。

まず、僕が見ているのは朝学校に行く前と夜家に帰ってきてからのBBCなのですが、基本的にリベラル/左よりで知られているBBC、トヨタのニュースも「またもやトヨタから、ひとつブランドの輝きが消えていきました」みたいな感じで始まります。

ヘッドラインがこんな感じなので、当然全体の報道はネガティブトーンです。ですが一応たまにコメンテーターやユーザーが登場しまして、彼らの発言は比較的冷静かつバランスがとれているような気がします。

スタジオ「実際に問題を感じたことはありますか?」

ユーザー「はい、昨年のクリスマスに雪道を運転しているときに、報道されているような問題を感じました。ただ、ブレーキが利かなくなるのはほんの一瞬で、はじめは自分の運転技術の問題だと思いました。その後同様の現象が何回かおこったのでディーラーに電話しました。そのときはディーラーは問題をよくわかってないようでした」

スタジオ「その後どうなりました?」

ユーザー「先日のリコール発表から状況が変わりました。、昨日ディーラーに改めて連絡したので、この後リコールをする予定です。今はディーラーの返事待ちです」

スタジオ「明らかに今回の事件でトヨタのブランド、信頼性、耐久性などに傷につきましたね。それでもあなたは次もトヨタを買いますか?」

ユーザー「私もそういうブランドイメージを持っていたので、それがトヨタを買った大きな理由です。今後も買うかどうかは今回の件の対応をみてから判断したいと思います」

スタジオ「ディーラーがこの番組をみてれば、すぐに連絡があるでしょうね。ありがとうございます」

あと、アメリカのコメンテーターの意見としては

「確かにブランドイメージは傷ついた。トヨタといえば、お買い得、安全、耐久性があるという印象がつよく、それが世界全体が不景気になってから、同社の強みとなってきた。しかし、一連の事件で無条件に信じられるブランドではなくなってしまった」

「ただ、客観的にみれば、この欠陥がリコール対象となるかどうかは判断の余地がある。サービスキャンペーンなどで対応することも可能だったかもしれないが、ブランドイメージを考慮して敢えてリコールに踏み切ったというのが私の印象だ。まだ最終的な判断はできないが、問題が公になってからは比較的よく対応しているという気がする。」

って感じでした。僕は日本人なので、視点がトヨタ寄りなんでしょうけど。あと、これはイギリスのニュースなので、アメリカはまた報道のトーンが違うでしょう。

今回の件で感じたのは、やっぱりトップがメッセージを出すのと出さないのでは、その後の反応が違ってくる、ということです。豊田社長自体の会見はパッとしないですし、発表内容もまだまだ不十分なのかもしれないですが、連日の記者会見で少なくとも社長が責任逃れをしようとしている、というトーンなくなってきました。

とはいえ、報道は全体的にまだまだスーパーアゲインストです。1年や2年の利益を吐き出してもトヨタならどうってことないでしょうから、是非迅速に対応して欲しいものです。

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2010.02.09

翻訳のススメ

短期的に考えるとあまり役に立たちませんが、長期的には重要であろうということと、単純に知的好奇心を喚起されるので、翻訳家の山岡洋一氏のコラムをご紹介します。

古典の翻訳がさっぱりわからなかった人へ

何をいっているかというと、アダムスミスの「国富論」などの翻訳を読んでさっぱりわからなかったとすれば、それは翻訳の仕方が悪いのかもしれない、ということです。たとえば、

われわれが食事を期待するのは、肉屋や酒屋やパン屋の慈悲心からではなく、彼ら自身の利害にたいする配慮からである。
(水田洋監訳・杉山忠平訳『国富論』、岩波文庫、2002年(2刷)、第1巻39ページ)

It is not from the benevolence of the butcher, the brewer, or the baker, that we expect our dinner, but from their regard to their own interest.

この日本語訳を読んでパッと意味がわかるか、と聞かれたとします。なんとなく、善意ではなくて利害が大事なのか、ということが伝わってくるけど、それでいいのかと。ちなみに、山岡氏によると、いまいち意味がよくわからない原因は「Expect」を英和辞典どおりに「期待する」と訳しているからなのだそうです。

日本語で「期待」といってしまうと、「よい結果を待ち望む」という意味になるので、この場では訳語としてふさわしくないそうです。つまり、「我々が食事を期待するのは」とくれば、当然「いい匂いがしたからだ。」などの文章が後に続くはずですね。ところが、「我々が食事を期待するのは肉屋や酒屋やパン屋の慈悲心からではなく、」とくるので、わけがわからなくなる、ということです。

Expectは英英辞典だと「あり得る、もしくは高い確率で起こると想定する(To consider likely or certain)」という意味が書いてありますので、ここでは「われわれが食事を当然あるものと想定しているのは、肉屋や酒屋やパン屋の慈悲心からではなく、彼ら自身の利害にたいする配慮からである。」と解釈するべきなのです。

さらにこれを原文の意図を伝えるべくもっと自然な日本語にすると、

「我々が食事の心配をしなくて済むのは、肉屋や酒屋やパン屋が慈悲深いからではなく、彼らが自分達の利益を追求しているからである。」

ちなみに、これは僕が訳しましたのでクオリティは保障しませんが、多分これがアダムスミスが言わんとしていることかと。ということで、どうでしょうか、元の翻訳にくらべると結構すんなり意味が伝わってくるのではないでしょうか。

とにかくこっちで暮らしていると、「なんとなく意味はわかるけど、正確なところは自信ない。」という文章によく出会います。スピーキングやリスニングに比べればリーディングは相対的にはまだましなのですが、それでも全然満足できるレベルではありません。

一方、わかんない文章に出会ったときにいちいちこんなに深く考えている時間がないのも事実でして、「よくわかんない部分はとりあえずほうっておく。」という姿勢もまた重要かと。ただ長期的には母国語と同じレベルは無理にしても、それなりにリーディングのレベルもあげたいなーと思って決意を新たにするのでした。

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2010.02.06

トヨタリコールの衝撃

トヨタのリコールのニュース。こっちでも連日トップニュースです。当然ながら、報道はネガティブ一色。日本人としては非常に残念。

ちなみに、先日小沢幹事長のニュースが「海外メディアでも大きく取り上げられている。」という記事を日本の新聞のサイトでみましたが、これはまぁ、言ってみれば誤報ですね。昨年政権交代があったらしい、ということならまだしも、こちらでは鳩山首相も小沢幹事長も誰も知らないものと思われます。「海外メディアでも大きく・・・」「海外メディアで批判的に・・・」という類の情報は実態を反映していない可能性があると思われます。

残念ながら僕はトヨタの内部事情に詳しいわけでも、車業界に詳しいわけでもないので、原因がなんであったかについてはコメントできません。が、こちらのメディアの反応についてみてみると、報道の非難の焦点は欠陥があったことそのものよりも、むしろ「トヨタの対応が遅い。欠陥を隠していたのではないか。」ということにあるように思われます。

記憶にある限り、恐らくトヨタにとっては何十年ぶりかの危機ではないでしょうか。こういうときこそリーダーの資質が問われると思われますが、豊田章男社長の記者会見はあまりパッとしませんでしたね。むしろ家臣団の方が堂々としていてどっちが社長がわからないぐらいでした。

このブログでも言及しましたが、人間の基本的な喜怒哀楽は全世界共通だと思っています。何年か前に松下がやったような、社長陣頭指揮の下に、徹底的な全社対応ができれば、むしろかえって名をたからしめられるような気がします。手始めに既存広告を全部リコール情報提供に差し替えるとか。

ニュースを見る限り、具体的に決まっているのは委員会をつくって原因究明ぐらいのようですが、具体的な対応はまだ無理だとしても、見込みでもいいから発表のスケジュールぐらいはだして欲しいところです。トヨタ社員でもない僕の勝手な意見ですが、こんなことを考えるのも僕が日本人だからなのでしょう。意外なところで国籍アイデンティティを感じました。

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2010.02.05

いい職を海外でみつけるのは大変

欧米国でサマーインターンシップ獲得をめざすMBAの普通の学生にとっては、ちょうど今ぐらいから初夏までが就職活動の時期にあたります。インターンシップを経験すると、8割がフルタイムのオファーをもらえるというところもあり、みんなインターンの獲得には真剣です。

さて、「世界一の」ロンドンビジネススクールではありますが、それでもまだまだジョブハンティングの競争は熾烈で、本当にタフです。MBAの卒業生の半分以上がコンサルもしくは金融に行くため、ゴールドマンサックスとかマッキンゼーとかの人気企業だと、少ない枠に応募が殺到することになります。

しかし、これらの企業も定期的にMBAの学生を採用しているとはいえ、LBSの学生ばかりをとるわけにも行きません。全世界のオフィスを含めたとしても、LBSから2人~5人程度採用するというのが通常です。

当然ながら応募するのは軽く100人を超える・・・。200人を超えても不思議ではありません。それだけの学生が、わずか数名の枠をめぐって争うわけです。英語の中途半端な僕なんて、多分箸にも棒にもかかりません。

典型的なステップとしては、まず書類審査でふるいにかけられて、50人ぐらいにしぼられます。その後、学校で説明会をしてくれるような企業は、キャンパスでインタビューをしてくれます(専用の個室あり)。もちろんオフィスの場合もあります。それを2回程度クリアし、恐らく10人~20人ぐらいにしぼるのでしょう。

MBAの学生を定期的に採用しているようなグローバル企業は、世界中のどのオフィスで働くにしても、このステップをまず踏まなければならない、としているところが多く、インタビュー内容も統一されているようです。インタビュアーの質問や出題内容も、日本と比べると非常にシステマチックみたいですね。

インタビューを通過すると、その後ローカルのオフィス(シンガポールとか、ロンドンとか)と面接をして、これも通過すると最終的にオファーがでます。オファーがではじめるのは、2月末ぐらいからのようです。

採用活動はコンサル金融から始まって、その他の業種に移っていくというのが通常で、ステップ的にはなんだか日本の就職活動によく似ているような気がします。なお、日本人学生用の東京オフィスの採用プロセスは、一部の例外を除いて完全に別です(10月~11月に終了)。

ということで、こういう採用プロセスにチャレンジしようとすると、そもそも英語は出来て当たり前。多少発音にアクセントがあってもあんまり向こうは気にしないようですが、リスニングがちょっとでも劣ると激しく不利になります。英語が完璧で、ようやくみんなと同じスタートライン。いや、VISAの問題もあるので、それでも欧米の学生と同列には立てません。

ところが、海外オフィスで働いても、東京で働いても、経済面での待遇はそれほど変わりません(ワークライフバランスは海外の方がいいようです)。日本で育って、ずっと東京で働いていた人間がこっちで職をみつけようとすると、不可能ではないですが、通常は給料もポジションも結構下がります。日本と同じレベルの職をみつけるには、相当な努力と幸運が必要です。

もちろん、給料が下がってもポジションが悪くなっても「どうしても海外に住みたい」という人もいることでしょうし、そういう覚悟で臨めば職がみつかる確率はぐっとあがります。

ということで、海外で働くというのも聞こえはいいですが、一般的には多くのハードルをクリアーしなければならないわりには得るものが少ないと思われます。海外でMBAを取得した人たちが大抵帰国して東京で働いているのは、こういう理由ではないかと推察します。


(おまけ)

ただこれはあくまで海外就業経験のない僕の感想です。「海外で働くと、日本の窮屈さが身にしみてもう日系企業では働けない。」という意見もよく聞きますので、ひょっとするとサラリー以外のメリットが想像以上に大きいかもしれません。

また、そもそもこの感想は短期的な視点に基づいておりまして、20年後、30年後に日本経済が崩壊するとか、そういう可能性はあまり考慮しておりません。

最後に、あくまでMBA学生の就職活動をみていての感想なので、サンプルが偏っております。例えば技術職などであれば、海外の方が職を得やすく、サラリーもワークライフバランスもいい可能性が十分にあると思われます。

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2010.02.02

アンディマリーとBBC

先日テニスのオーストラリアンオープンが終わりました。終わってみれば、決勝戦はフェデラーが貫禄の圧勝でしたね。残念ながら負けてしまいましたが、こちらイギリスはアンディマリー応援一色でした。

決勝戦は朝8:00からBBCの1チャンネルで完全生中継。全ての既存プログラムはBBC2に押しやられてしまいました。そんでもって、解説者がなんとヘンマンとベッカー。彼らが特に気の利いたコメントをするわけでもないのですが、やっぱなんというか、こっちはテニスの「層の厚み」が違う。それにしてもヘンマンって結構おしゃべりなんですね。

日本の民放ほど騒がしくはないですし、けばけばしくもないのですが、アンディマリー特設スタジオらしきものまで出来るしまつ。イギリス人のグランドスラム優勝者が74年でてないことを考えると、むべなるかなとも言えますが。

ちなみにフェデラーには準決勝のインタビューのときに、「イギリス人でグランドスラム獲得って・・・15万年ぶりぐらいだっけ?」(会場爆笑)と言われちゃいましたからね。イギリス人記者に「正確には74年です。」とつっこまれた際は「あ、そうなの?大した違いじゃないね。」とかえしてました。

一応フェデラーのインタビューは「彼はだから大変なプレッシャーを受けているはずだ。それを跳ねのけてすばらしいパフォーマンスをみせていると思うよ。」と続きます。格闘技みたいに挑発する意図はなくて、純粋にジョーク。

そういえば、日本の錦織くんは最近どうしたのかなーと思ったら、怪我でずっと欠場している模様。うーん、こんなに試合はなれちゃって大丈夫かいな。ナダルも一瞬頂点にたったかと思ったら、怪我で最近ぱっとしないし、やっぱプロスポーツ選手はフィジカル面で強くないとつらいですね。

小さなことですが、おもしろいなーと思ったのが、各選手の呼び方。マリーのことを「The Scot」(スコットランド出身)とか、フェデラーのことを「The Swiss」とか、出身地で呼ぶことが多いんですね。そして、結構ランキングにこだわる。マリーの枕詞は「The Britain's No 1」。新聞とかだと、Andy Murray, Britain's No1, で記事が始まります。これは女子も同じで、誰が一番だったか忘れましたが、○○, Britain No1 って紹介されます。

イギリスNo1ってそんな大したことでもないし、わざわざ言う必要もないだろうと思うのですが。錦織くんが「錦織圭、日本ランキング1位」って紹介されたのはあんまりみたことがないのですが、どうやらこっちの人には「Big Deal(大したこと)」のようです。普段順位なんて気にしないようにみえて、さりげなく気にしている、って気がしてイギリスっぽいお国柄を感じます。

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