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2010.02.20

続・アカウンティングの授業

トヨタネタが続きましたが、このブログの本来の趣旨であるLBSの生活に戻ります。引き続き今学期一番スパイスの効いているアカウンティングの授業のご紹介を。

何がすごいって、英語で言うとサーカスティックな(=NGではないが、嘲っている調子。冷笑的でエッジの効いた表現)話術が、もはやウリになっています。一例ですが教授が

「それでは、今回のケースを要約してくれる者はいるか?」

と質問しましたので、一人の生徒が手を挙げて答え始めました。それがちょっと冗長な要約だったので、あまり後半はみんな聞いていません。終わったところで教授曰く、

「ありがとう、すばらしい要約だった。実に。ほとんど全部をカバーしているよ」(教室苦笑)

という感じです。

今回の減価償却費の話でした。このブログに興味のある方は減価償却の基本概念は恐らくご存知かと思われますので、説明を省きますが財務諸表上の減価償却費の計上については、経営者の裁量の余地が多いそうです。つまり、

 1.その資産(建物なり工場なり)の想定使用年数は何年か

 2.その資産の減価償却後の最終的な残存価値はいくらか

 3.その資産の価値の磨耗計算方法はなにか(定率、定額など)

このうち、耐用年数と残存価値についてはとくに主観的なので、これらをいじることで、財務諸表上のパフォーマンスを「調整」することができるそうです。

「企業が減価償却の方法を変更したときは要注意だ。なぜなら企業は本当の理由を言わないからだ。公表理由は常に、『業界標準に従った』か『再検査をした結果』のふたつだ。では、実際にみてみよう。」

ひとつの例として挙げられたのが、イギリス空港会社。空港会社なので、当然滑走路とターミナルビルが主な資産になります。1988~1990年にかけて、各施設の耐用年数が劇的に変化しています。

1988
1989
1990
ターミナル
16年
25年
50年
滑走路
23.5年
50年
100年

当然ながら教授は絶好調です。

「まずもともとの耐用年数をみてみよう。ターミナルビルは16年、滑走路は23.5年だ。多分ここのエンジニアは優秀だったんだろう。端数まで算出した、実に正確な数字だ。

ところが、1989年に突如耐用年数が2倍に延びた。公表された理由は『施設状況を再検査したため』だ。正確な数字のはずが、施設を再検査したらいきなり寿命が2倍になったのだ。

1990年になると、さらに耐用年数が2倍に伸びている。このときも公表された理由は『施設状況を再検査したため』だ。この会社が雇っていたエンジニアが毎年何十年もの計算ミスをおかしたのでなければ、多分経営陣がうっかり言い忘れていることが他にもあるだろう

実際はこの後ヒースロー空港のターミナル5の建設を予定していたため、その減価償却費のマイナスインパクトを和らげるために一気に耐用年数を100年まで延ばしたそうです。この話を一歩進めると、過去は16.5年の耐用年数でも大丈夫だったのに、今後はダメだということで、将来的な収益率の低下を経営陣が認めている、ということでした。

とかくMBAのメリットというと、収入があがるかとか、卒業後いい職につけるとか、出世できるかなどの点に注目がいきがちですが、そもそも本来の趣旨である”経営者として必要な基本知識をパッケージで教える”という点では効率は悪くないな、と思うのでした。

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