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2010.03.03

とある外交官

本日は英国外務省の事務方のトップがスピーカーのイベントがあるというので、ちょっと顔を出してきました。僕の興味の方向性が偏ってるかもしれませんが、ジョージソロスのときは一瞬で眠くなって(実際に寝た)しまったのですが、今回はほぼ徹夜明けにも関わらず、全然眠くなりませんでした。

このイベントはジョージソロスとは比べ物にならないぐらい不人気。教室にいたのは30人ぐらいでしょうか。スピーカーの外見はいかにも公務員という感じの、ぱっとしない初老の男性。そして、彼の話す内容も、別に目が覚めるような内容でもなく、会計の教授みたいにアイロニーを利かせて笑いをとるということもなく、どちらかというと抑制がきいていて、まぁ言ってしまえば平凡なのですが、妙に納得してしまう感じでした。

まず、彼の英語が極めて分りやすい。比較的分りやすいとされているBBCの比ではない。恐らく30年間外交官生活をしてきただけあって、非ネイティブの人と話慣れているのでしょう。イギリス人が好む、イギリス独特の表現やもってまわった言い回しも一切しません。それでいて、別に速度が遅いわけでもなく、格調高い(ような気がする)。この人に比べると、質問している生徒のイギリス人のしゃべり方が、とても子供っぽく見えてきます。

さらに、外交官だけあって一切人を不愉快にさせるようなことを言わないし、しぐさにも出さない。それでいて、ところどころユーモアを忘れない。これも外交官にもよるのでしょうが。以下Q&Aの抜粋です。

生徒:「私はもう10年もイギリスに住んでいるのに、2年ごとにVISAの更新を要求される。移民を排斥しようという意図でもあるのか。」

外交官:「かなり外交官っぽい答えになってしまいますが(会場微笑)、『良い移民』をうけいれて、『悪い移民』にはお引取り願おうというのが基本スタンスです。高い技術力や優れた能力をもった人たち、そうですね、例えばあなた方のような人たちです(会場微笑)。是非わが国に来て欲しいし、イギリスに貢献して欲しい。」

生徒:「イギリスはイラク戦争をめぐって、国論が2分している。引き裂かれているといってもいい。外交官として政治の決定にどう対処するのか」(結構挑発的)

外交官:「外交官の仕事は戦争を避けることだといってもいいでしょう。ですから、イラク戦争が起こったときは、非常に残念でした。ただ、公僕である以上、政治の決定には従います。もちろん全ての人間がこの決断に賛成なわけではないし、信念に従って行動することは何にもまして優先されるべきです。

このときは、実際に関係者を集めて『残念ながらわが国は戦争を遂行することになった。この決断に不服なものは今すぐ辞表を出してもらいたい』といいましたよ。実際に一人辞表を出しました。

ただ、だからといって外交官全員がイラク戦争に賛成なわけではもちろんありません。ひとたび戦争が始まった後は、それをいかに早く終わらせるか、そして戦後復興をいかに実現させるか、我々がやるべきことは尽きることがありません。だからみんな誇りを持って仕事をしています。」

生徒:「政治家のなかには目先の利益のことしか考えない人たちもいる。例えばイギリスは選挙を控えているが、このような人たちは人気取り政策に走るだろう。どう対応するのか。また、今回政権が変わったら外交方針はどうなるのか。」

外交官:「最後の質問は選挙が終わってから答えたほうがいいでしょうね(会場笑)。ですが、確かに政治家は即効性のある政策をもとめます。1ヵ月後に選挙が迫っているとしたら、5年、10年の長期スパンで考えることはなかなか難しいでしょう。2週間で結果がでる案件以外は全部スルーされてしまうのは事実ですよ(会場笑)。

もちろん、我々は政治の決定には従わなければなりません。ただ、政治家に長期的視野、そうですね、せめて5年ぐらいのスパンで考えて欲しいし、その為に必要な働きかけをするのも我々の仕事だと思ってます」

なんとなく雰囲気伝わりましたでしょうか。何も特別なことはいっていないけど、思わず聞きいってしまうような感じ(ケータイのメール打ってる失礼な元コンサルタントもいましたが)がありました。

多分、LBSで学んでいる大多数の人にとっては退屈な講演だったことでしょう。ただ、僕はこの講演から学んだことが非常に多いように思えます。

果たして日本の事務次官が、たかだか30人の学生の為に講演してくれるでしょうか。よしんば本人は講演してくれたとしても、部下がわざわざそれをアレンジしようと思うでしょうか(今回はLBSの卒業生が企画)。

ちょっと日本との差を感じてしまいました・・・。

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