« 日本は中国に追いつかれるのか | トップページ | ブラックショールズ式を考える »

2010.05.19

シンガポールに行きたいか

MBA生にアジアでどこに住みたいかと聞くと、多分シンガポールか香港が人気となるのではないでしょうか。理由は単純で所得税が安いから。

Map2

これが地理的関係で、こちらが所得税率。

2006061011

これは国税ですので、地方税(日本なら住民税)がかかりますが、香港やシンガポールにいたってはそもそも地方税がありません。ちなみに香港では、税制度が選択できまして、一律税率のほうを選ぶとなんと15%。おーまいが。香港住民が「Amazing」というのもよくわかります。ちなみに安いのは所得税だけではありません。

■法人税実効税率(国税地方税含む)

    日本:約41%

    香港:約17%

    シンガポール:約25%

このほかにも交際費が非課税だったり、キャピタルゲインが非課税だったり、もう税制上の優遇は数え切れません。ということで、製造業や金融セクターを中心として、海外企業が競って進出しています。実際にシンガポールの人口500万人のうち、100万人が外国人です。

しかし、この両国はそんなに税率低くてやっていけるのかなぁ、とふと考えてしまいました。で、興味がわいてきたので比較してみると(めんどくさいのでシンガポールのみ)・・・

まず、一人当たりのGDP

    日本:3万8559ドル

    シンガポール:3万8972ドル

データは2008年のもの。この値は為替レートによって変わるのですが、いずれにしろかなり拮抗しているといえるでしょう。それで、2010年の一人当たりの財政規模(歳出)を調べてみると・・・

    日本:83兆/1.27億人=65万円

    シンガポール:463億円/500万人=9万円
  (シンガポール政府のサイトより

むぅ・・・。こんなに違うとは。計算合ってますよね?

なぜこんなに一人当たりの行政予算が少ないかといいますと、ひとつはシンガポールは典型的な都市国家で、人口密度も日本の20倍。超効率的な行政サービス運営が可能なのです。例えば日本のように道路を張り巡らさなくて良いし、あるいはローカル路線の赤字補填もいらないので、一人当たりの負担は小さくなります。

さらに、シンガポールは行政サービス自体の規模も非常に小さいです。例えば、日本の支出においては社会保障(医療、年金、介護)が最大なのですが、シンガポールの最大支出項目はなんと軍事(国家予算の20%、さすが独裁国家)。もちろんかの地の年金に税金は一切入っていません。ちょっとネットで調べてみたら、やはり公的な健康保険も十分とはいえないようです。というか、ほぼ公的医療保険ないのかな・・・。

シンガポールは究極的な小さな政府といえるのではないのでしょうか。でも、多くの外国人にとってはこれでいいのです。だっていずれ自国に帰るのですから。自分のお金でシンガポールに道路作ってもらわなくていいよ、シンガポールの公的医療保険に自分のお金とられたくないよ、というところでしょう。

シンガポール人にとってはどうでしょうか?まず財政の再分配機能が働いているかは大いに疑問です。お金持ちはお金持ちのまま、貧乏な人が這い上がれない社会の可能性があります。もちろん外国からの投資を呼び込むことによってここまで発展したので、悪政とも言いきれません(というか一般的にシンガポールは典型的な成功例と考えられている)。

ただ、個人的にはもう十分先進国のレベルにいたったので、徐々に税率を引き上げて少しでも行政サービスを拡充したほうがシンガポールの人たちのためではないかと思いますが・・・。現実はどうも逆の方向のようです。

ということで、当たり前ですが税率を低くすると、それなりに支出も絞らないといけないということですね。こういう国々と資本誘致競争やっても勝てませんし、またマネをするべきとも思えませんので、日本は日本でもっと別の戦略が必要なんだろうなぁ、と思います。

追記:さっき教えてくれた人がおりまして、やっぱりシンガポールのジニ係数(収入格差の指標)は相当高いそうです。税率が低い⇒金持ちから貧乏人にお金が動かない⇒格差社会。全くもって目新しくないですが、これまた真実かと。個人的にはもちろん税率は低いほうがいいんですけど、あまり極端に格差があるのは望むところではありません。

↓もし面白かったらクリックお願いします

人気ブログランキングへ

|

« 日本は中国に追いつかれるのか | トップページ | ブラックショールズ式を考える »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/536885/48379912

この記事へのトラックバック一覧です: シンガポールに行きたいか:

« 日本は中国に追いつかれるのか | トップページ | ブラックショールズ式を考える »