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2010.05.15

なぜ中国は急成長しているのか

最近マクロ経済学が面白いので、経済学ネタが続きます。でも、経済学専攻の生徒に言わせると、”すごいベーシックな内容”とのことです。なんだかとほほ。昔もちらっと思いましたが、経済学部に行けばよかったかなぁ。といっても、学部時代に吉川先生のマクロ経済学の授業を受けようとして、すぐにドロップしてしまった経験あり。

さて、今回は授業内容を踏まえて、なぜ中国が急成長しているのか?というテーマを取り上げたいと思います。

1.中国が急成長した理由とは?

2.このまま日本は一人当たりGDPでも中国に抜かれてしまうのか?

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最初のテーマについては、たとえばマネックスの松本社長が、

中国は明らかに成長しています。その根源は、インターネットなどによる技術や思想のフラット化、即ち誰でも(欧米諸国でなくても)様々な技術や情報にアクセスできるようになったことと、経済の源である人口が多いことにあるのだと思います」

と感想を述べられております。皆さんはどのように思われますか?

実は経済学の理論的には「限界生産曲線」によって、中国が成長している理由を説明できます。同じく日本が高度成長を成し遂げたことと、そしてその高度成長が2度と来ないであろうことも(少なくとも革命的な変化が起こらない限り)。

さて、とりあえずここで「成長」とは一人当たりGDPが伸びることとします。単純化のために経済全体に”車”しか商品がない、人口100人の国を考えます。人口が100人のままだとして、去年は100台生産したけど、今年は110台生産できた、という場合はGDPの伸び率は10%です(値段はとりあえず無視してください)。

つまり、中国のGDPが成長しているということは、海外輸出用の服なり、あるいは自国のビルなり道路なりの生産量が急激に伸びているということですね。

さて、車を生産するには工場が必要です。この国にひとつ工場をつくったらどうなるでしょうか?産出量は0からどかんと増えます。では、ふたつ工場をつくったら?産出量は増えますが、100人を2つの工場に分散させるので、多分ひとつ工場をつくった時ほどには増えないでしょう。3つつくったら?100人で3つの工場をまわすのは無理かもしれません。つまり、産出量は全く増えないかもしれません。

ということで、これを一般化すると以下のグラフが描けます。

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図は、投資がどんどん増えていくと、その他の制約条件によって投資に対するリターン(産出量)が逓減していくことを示しています。ちなみにこの考え方は140年ぐらい前に確立したそうです。
(Wiki:限界革命参照。ちなみに、”限界”は非常にイメージがわきにくい、悪い訳語だと思う。”追加生産曲線”とかの方がまだましだったのでは。)

さて、直感的にいってもこれは納得ができるのではないでしょうか。例えば日本のような道路がいっぱいあるところに、新しく100億円使って一本高速道路を作っても、影響はあまりないでしょう。でも、たとえばそもそも高速道路のない(とします)中国で100億円使って3本高速道路をつくって主要都市をつなげたら、すごいプラスの経済効果があるかもしれません。

もうひとつ、ドイツの例を。

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ご存知のようにドイツの社会資本は第2次世界大戦で徹底的に破壊されました。つまり、蓄積された資本はゼロです。そして、GDPももちろん極度に落ち込みます。でも、高度教育を受けた人的資本はもちろん残っていて、そこに米国のマーシャルプランによる大量の資本投下です。急激にドイツのGDPは成長し、その後その成長は鈍化していきます。

つまり、中国が急成長しているのは、それまでの資本蓄積が少なかったから。同じく日本がかつて高度成長したのも、資本蓄積が少なかったから。資本蓄積の量によって、成長率が決まってくるわけです。

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実際に投資金額と生産量の伸びを分析すると、中国の成長のかなりの部分が資本投資によるものです。つまり、もちろん技術的にも恐らく制度上も中国は”成長”しているのですが、まずもって投資による伸びが大きい。

そして、この成長は徐々に、しかし必ず鈍化します。なお、日本はすでに相当量の資本蓄積があるわけですから、資本蓄積による成長はあまり期待できません。

成長するには、人口を成長させるか、技術を進歩させるかしかないわけです。と考えると社会全体の生産量を急増させる技術革新や、教育水準の高い移民の大量流入(例えば朝鮮半島で戦争が起こって韓国の優秀な人材が流入するとか)でも起こらない限り、高度経済成長はありえないでしょう

さて、以上の議論をまとめると、「中国が成長しているのは、道路や工場をがんがん作ってるから」。で、日本がまねできないのはそういう設備が既にあるから。うーん、ちょっと身もふたもないかな。

でも、実はこういう要因分析で全体像を大まかに把握することって大事だと思うんです。そうすると、日本が中国ほど成長してないからといって過度に悲観的になる必要がないこともわかりますし、精神論や局所的な現象に惑わされずに済みます。大所高所から今一番何が必要なのかを考えるのに役立つでしょう。

では、日本は中国に一人当たりGDPでも抜かれてしまうのか?に、ついて書こうと思ったのですが、ちょっと長くなったので続きはまた今度。

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コメント

わかりやすくてよかったです。smile

投稿: | 2010.07.07 00時16分

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