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2010.05.17

日本は中国に追いつかれるのか

前回のエントリーの続きです。

さて、それでは中国の経済成長が奇跡でもなんでもなくて、一般的な経済成長の一例だとしましょう。では、いつの日にか日本は中国に”抜かれて”しまうのでしょうか?

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(ルイヴィトンの約6割が日本だというのはよく知られてますね)

10億人と1億人の人口の違いがあれば、経済規模で比較するのは少し無理があります。通常は1人当たりのGDPで比較するようですね。前回のエントリーでご説明したように、中国の成長はいずれ鈍化します。現在日本の一人当たりGDPは中国の10倍ですから、「平均値」で追いつかれるのは相当先(少なくとも数十年後)の話でしょう。

なお、”一人当たり”だけではなく、全体としての経済規模も、国際政治における政治力を左右しますので、これはこれで非常に重要です。国際政治の舞台で力をもつとどうなるか?自国に都合のいいルールを他国に押し付けたり、極端な話領土をぶんどったりできます。ちなみにこれは現在の話です(参考:ミスチーフ礁問題)。

では、一人当たりGDPもいつかは追いつかれてしまうのでしょうか?

この問いに答えるのはやや複雑になります。前回は説明のために簡略化しましたが、限界生産曲線は国の技術レベルや教育水準によって異なるからです。恐らく今の技術レベルを考えると、こんな感じではないでしょうか?

Presentation3_2

この図の意味するところは、”同じだけの資本蓄積があったら、技術レベルの高い国のほうが産出量が多い”ということを意味しております。

つまり、もし日本が技術的な優位を保てれば、永久に追いつかれることはない。ただ、日本がそうであったように、発展途上国は先進国からの技術移転(すなわちコピー)の恩恵にあずかりますので、技術的な差は徐々に縮小します。

もし中国が教育に多大な投資をして、中国の技術レベルを引き上げれば、追いつかれるどころか、追い抜かれてしまうことすらありうるでしょう。なぜならさまざまな国の成長の相関関係を調査すると、あらゆる国で長期的な成長と相関が高いのは教育に対する投資だからです。そして、恐らくそれは因果関係でもあるでしょう。質の高い教育を受けた人材が国の長期的な成長をもたらす、というのは平凡な結論ですがまっとうだと思います。

そういう意味では明治政府のお雇い外国人教師は政策として全くもって正しかったし(復活させてもいいとすら思います。高給で第一級の学者を日本に招く。)、鳩山政権の悪名高い”子供手当て”も「教育に対する投資比重を高める」という方向性は正しいと思います。ただ、現行の”子供手当て”は現金ばら撒きという支給方法に問題があったり、財政的にもつのか、など手放しでほめられませんが・・・。

ということで、マクロ経済に関しては、個人的に興味深いネタがいっぱいありますので、また時間ができたときにアップします。

追記:

以上の議論は貧富の格差を考慮してません。中国のジニ係数は約0.5。日本の0.25と比べると非常に高く、かなり貧富の格差があります。仮に日本のGDPが1000兆円で人口が1億人だとすれば一人当たりGDPは1000万円です。中国のGDPが2000兆円になり、人口が10億人にもかかわらず、そのうちの上位10%が80%の富を握っていたとしたら、(2000兆×80%)÷1億人=1,600万円になって、上位一億人に関して言えば日本の1.6倍。まぁ、昨今のタイの動乱にみられるように、こんな極端な不平等社会は政治的にもたないと思いますが・・・。 

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