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2010.06.07

中国の為替戦略 2)

前回の続きです。さて、そんなこんなで中国はせっせとアメリカ国債を買っているのですが、それが統計にも表れております。

China_gaika

中国の外貨準備高は日本をはるか後方に抜き去り、2010年3月で2兆5000億ドルで世界一。ちなみに日本は約1兆ドル。なんと、オバマ大統領の財政出動(減税、医療補助、教育補助)は中国がお金を貸して支えてるんですね

ちなみに、うちの教授にいわせると、こんなにあからさまに為替を操作している国は世界中でも中国だけだそうです。

どこの国も自国の輸出を増やしたいので、それには為替安がいいに決まってます(輸出品の値段が安くなる)。しかし、通常は中国みたいなことはしません。”普通の国”は国民経済の混乱をおさえるために中央銀行がマネーサプライを調整し、物価を一定の範囲内に誘導しているからです。もっとも、それが必ずしもうまくいかないのは日本のデフレをみればあきらかですが。

もし各国が中国と同じ政策をとるとどうなるか?お互い通貨ダンピングになって、あっちでインフレ、こっちでインフレになって世界経済は大混乱になります。ということで、本来やるべきでない政策といえるでしょう。「中国のやり方は不公正である」という主張には、なかなか反論できません。

しかし、一見おいしいとこ取りをしてるかのような中国ですが、このような無茶な人為的操作は永久には続きません。アメリカ議会からの政治的圧力もさることながら、この作戦には本質的な問題があるのです。ひとつは、前回みたようにマネーサプライが増え、低い為替レートで輸入品(原油等)の価格があがりますので、インフレーションが起こります。結果はホンダ工場にみられるように、ストライキその他で国内経済が混乱してしまいます。高インフレを永久に続けるのは不可能です。

もうひとつは、アメリカ政府が財政赤字を縮小させるとそもそも買う米国債がなくなってしまうという問題があります。つまり基軸通貨国家の財政政策に依存しているのです。米国政府の財政政策をみてると、やれ医療保険の拡充やらといっておりますので、当面は財政赤字は縮小せず、大丈夫そうですが。

多分、中国政府は今のうちに通貨発行量を抑えて元レートを徐々に切り上げることを考えているでしょう。というのも、このまま米国債を買い続けると、将来えらいことになるからです。想像してみてください、あなたが1000万円分のアメリカドルを持っていて、いきなりドル安になって価値が半分になったら、まっさおですよね。中国の場合は既になんと250兆円分です。10%切りあがっただけでも損失は25兆円。大ダメージです。

それを避けるには、元を刷ってドルを買い続けるしかないでしょう。でも、そうするとどんどん破滅したときのダメージがでかくなる・・・。まさに負のスパイラル。

やりたい放題やってるようにみえる中国ですが、結構危うい綱渡りをしているわけです。購買力平価レートと為替レート(理論的に同一に収束)を比較すると20~30%過小評価されているといわれています。つまり中央銀行が国家予算規模の潜在的な含み損を抱えています。長期的な観点から賢い選択としては、徐々に元を切り上げ、ある時点で変動相場制に移行することでしょう。中国の生産性の伸び(=所得の伸び=国内市場の拡大)を考えれば、これから輸出依存度が徐々に下がるでしょうから、実行可能だと思います。

そんなこんなで、中国旅行に行くなら元の安い今のうちかなぁと思っております。あ、今はヨーロッパも今金融危機なのでユーロ安。こちらもお勧めです。

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