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2010.07.24

地味なIFRS雑感

日本でも欧米の会計基準(IFRS)が徐々に適用されるそうです。地味な宣伝ですが、我がLBSは当然IFRSを中心に会計の授業を行っておりまして、この点でもやっぱり世界の流れはLBSということでしょうか。

ま、冗談はさておいてですが、我がLBSではIFRSと同時に「米国会計基準(日本基準に近いらしい)だったらどうなるか」ということも触れてくれます。で、違いよりも同じ点に注目してしまう私としては、(素人的には)「結局ほとんど変わらないじゃん」とも思うのでした。せいぜいLIFOがIFRSでは認められていない(日本でも今年からNG)と、包括利益という概念がIFRSにあるぐらい。個人的にはLIFOがある意味をあまり感じないので、学習者のためになくして欲しい・・・。

それにしても、WikipediaのIFRSの解説は、僕のつたない知識をもってしても「ん?なんかおかしくない?」というところが多いです。たとえば「IFRSでは開発費を資産計上」とありますが、私の認識では開発費の資産計上が認められるのは、将来の収益性が確実な段階、たとえば医薬業界のPhase3とか、どちらかというと”例外的”なケースという認識です。

ちなみに、日本では包括利益に関するコメントを多くみますが、あんまり授業では重要視されてなかったように記憶しております。「時価が大きく下がっときは損失処理(今の日本でも株式とかはそう)、時価があがったときは収益として認識してもいいけど誤解を招かないように別勘定(その他包括利益?ohter comprihensive income)にしなさい。」という程度だったような。

とはいえ、そもそも日本の会計制度をよく知らないのであまり比較はできません。僕のような大雑把なレベルではなくて、実務的には細かくかつ重要な点が多々変更になると思うので、会計士さん達はご苦労様です。

なお、ひとつ会計士さんたちにお願いがあるとすれば、日本の会計士さんが書く文章は特殊専門用語のオンパレードで本当に分かりにくい!ぶっちゃけ意味不明であります。悪文で有名な法律家以上のような気がしますので、是非改善をお願いしたいところです。ちなみに、LBSの会計の授業は「普通の言葉」で行われますので、とっても分かりやすいです。

余談ですが、僕が会計とファイナンスを学んでから、日経新聞などで注視するのはもっぱら「営業利益」になりました。ということで、包括利益はあんまり個人的には重要項目ではありません。もっとも株式評価損をバンバンだしている某日系広告会社とかもありますので最終当期利益なども参考程度にみてますが。

あ、上記の記事の細かい点に関してはあまり自信がないので、もし間違っていたらどうかご指摘ください。

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2010.07.20

AGOSの夏祭りイベントに出席

掲題の通り、MBA受験予備校であるAGOSの主催する各校紹介イベントに行ってまいりました。よく考えれば僕は去年は当然イギリスにいましたし、一昨年も行かなかったので、3年ぶりになります。

思えば僕も3年前はあの立場にいたと思うと月日のたつのは早い・・・

などと月並みな感想を持つでもなく、本人としては結構淡々と「母校のために」がんばったつもりですが、はたから見るとやや宣伝に熱が入っていたかもしれません

僕が説明してたことは大体下記の通りです。

1.ビジネススクールの授業内容

どのビジネススクールもハーバードのケースを使っていますし、教科書も大体同じです。教授のマーケットも流動化してますので、実はある程度のランキングがあれば、授業内容にそれほど差はないと思います。

2.MBAライフを決めるもの

むしろMBAライフのクオリティを決めるのは学校のロケーションだと思います。この点からいえばロンドンに勝るところはそうそうないと確信しています。日本のものは山ほど買えて(高いですけど)不自由はありませんし、それ以外にもレストランやエンターテイメントの施設はいっぱいあります。ニューヨークであれば同等あるいはそれ以上の利便性があるかもしれませんが、かの都市にはヨーロッパ各国に1万円程度でいける地の利がありません。

3.LBSでは皆ガイジン

LBSのインターナショナルさは噂に違うことはありません。まさに世界中に友人ができます。生徒全員がマイノリティなので、”ガイジン”である我々にとっても非常に居心地がいいです。ちなみに、みんな英語はめちゃめちゃうまいです。

4.LBSの欠点

悪いところとしては、ポンドが落ちて相当ましになったとはいえ、それでもまだロンドンの生活費は多少高いです。それに消費税も来年から20%ですし。ただ、LBSは東京で言えば青山にあるようなものなので、多少は仕方がないと諦めましょう。その分楽しいですから。

あと、学校の設備は間違いなくしょぼいです。なんでも女王陛下の持ち物なので、勝手に建物をいじくれないとか。とはいえもちろん通常使用には全く問題ないですし、中のPCなども適宜リプレイスされてますので、個人的にはあまり大きな問題ではないと思います。それに使っていればこれはこれで愛着が沸いてきます。

それにしても3時間しゃべり続けるとさすがにのどが痛くなってきますね。来年も受験者が増えるといいですね。

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2010.07.15

イギリスの緊縮財政はすごい

さてさて、労働政権で思いっきり債務が積みあがったイギリスですが、このたびの政権交代によって強烈な緊縮財政に舵をきりました。

目標は「5年後までに基礎財政収支の赤字をゼロ」にすること。日本で言えば23兆円の赤字国債を5年後にゼロにする。といっているのと同じです。なお、現在のイギリスの財政事情ですが、累積赤字は9000億ポンド(=約130兆)でGDP比60%、2009年の単年度赤字は1800億ポンドでGDP比12.8%。なんと単年度赤字でいえばギリシャより悪いんですねー。そりゃ必死になるわ。

いままでがジャブジャブすぎたということでしょうか。ちなみに、財政赤字の削減ですが「2割は増税、8割は歳出カット」で達成するとしており、手始めに今年度は110億ポンド(1兆5000億円)の歳出カット。

  • 消費税は17.5%から20.0%に引き上げ
  • 公務員の昇給は2年間停止
  • 児童手当は3年間停止
  • キャピタルゲイン税は28%まで引き上げ
  • 年金支給年齢を66歳まで引き上げ
  • 銀行新税を導入

しかし一方で法人税はカットし、エンジェル減税も維持しており、一定の経済への配慮はみられます。肝心のイギリス国民の反応ですが、いまのところ仕方がないとみられているようでして、多少のデモなどはあるものの、暴動まではいたってません。もっとも、僕のみてるメディアが偏ってる可能性はありますが。

いずれにしても、わが日本と比べるとえらいスピード感の違いです。これこそ政治主導。なお、関連ニュースの冒頭では

イギリスを復活させるために必要なのだ

と、キャメロン首相の力強い言葉がニュースの冒頭に流れます(もちろん反対意見も多くて、労働党とかは「クレージーだ。何万人職を失うと思っているんだ」と非難してます。)

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2010.07.12

世論の解釈

最近読んだ本の中で面白い、と思ったのが、

世論の曲解
菅原琢

昨年の”政権交代”について、一般には「急進的な小泉改革に対する反動」としてメディア等で報道され、自民党もそう都合よく曲解していたが、真実は真逆で小泉改革路線を否定(郵政造反復党、暫定税率の現状復帰、定額給付金等のばら撒き)をしたからこそ手ひどいしっぺ返しを受けた、というのが真実である。

ということを、簡単なデータを用いて実に説得的に主張しています。ここ最近の一連のエントリーの流れに沿いますが、たとえ専門家(学者を含む)といわれる人たちの意見であっても、自分で批判的に検証することが大事だと思います。

例えば、一般的には菅首相の「消費税発言」が原因であったといわれておりますが、僕は必ずしも国民が消費税増税に拒否反応を示したとも思えません。それならば、なぜ民主党以上にはっきりと消費税増税をうたった自民党が議席をのばしたのでしょうか。逆に、なぜ消費税にもっとも批判的な社民党や共産党の票が伸びなかったのでしょうか。

トヨタのオペレーション改善方法に「なぜ?を五回繰り返せ」というものがありましたが、テーマを問わず、物事を批判的にみる目というのは、本当の問題点を探り当てるのに有効だと思います。

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2010.07.09

「頭のいい人なんていくらでもいるよ」

とは、学生時代からの友人(元コンサルタント)の言葉。本人は何の気なしに言ったつもりなんでしょうが、最近MBAのリーダー教育に絡んで僕が考えていたことのツボをついたので、「そうだよなぁ」としみじみと思うのでした。

何をもってして「頭のいい人」といえるのかという問題はありますが、とりあえずここではお勉強ができて、要領がよくて、事務処理能力に優れた人ということにしましょう。ついでに、通常の社会人生活を営む上で問題ないぐらいの処世術を身につけているものとします。

さて、そんな人って世の中に何人ぐらいいるのでしょうか?とりあえず日本で考えて、たとえば東大京大や早慶を卒業した人でみてみましょう。僕のときは東大一学年で約3000人でしたから、いわゆる”有名大学”の学生を合わせれば、2万ぐらいはいくでしょう。半分ぐらいは対人関係能力に問題があり、さらに半分はガリ勉君で応用が利かない、ということにしましょう。それでも5000人は残るのではないでしょうか。

僕は「5000人、結構いるなぁ」と思いました。これは一年あたりの数字ですから、現役世代に限って言えば数十万人の”頭のいい人”がいることになります。なお、僕の年の日本人は160万人ぐらいですから、5000人だと約0.3%ぐらいの割合です。

で、ここからが本題なのですが、果たしてそういう”頭がよろしい”人たちのうち、どれほどの人たちが本当のリーダーとなり、世の中を変えていけるのでしょうか?僕の主観では「そんな人にはめったにおめにかかれない」と思います。

というのも、本当にリーダーであろうと思ったら、”頭のよさ”に加えて、決断力、行動力、責任感、持続的な意思力、などが必要となってくるからです。むしろ”頭のよさ”なんて、数十万人のうちの5人ぐらいを選んでブレーンにしちゃえばいいのであって、代替可能な要素とさえいえるのかもしれません。翻って、決断力や行動力は代替できません。リーダーたる人が自分で何とかするしかないわけです。

そして、そうした人格に関わる要素は所詮2年間のMBA教育では身につかないとも思うのです。むしろ30近辺になってしまうと、人格可塑性は低いでしょうから、平たく言えば手遅れとさえ言えるかもしれません。もちろん、もともとそういう資質を持つ人たちを選抜して、MBA教育で磨き上げる、というストーリーも否定できませんが、中にいる人間としては、必ずしもそういう人たちだけが選抜されるシステムでもないな、と思います。

そんなこんなで、”頭のよい”ことはそれはそれで結構なのですが、この世の中においてもっと大事な資質はいくらでもある、と思うのでした。

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2010.07.06

英語の社内公用語化

最近英語の社内公用語化が楽天とファーストリテイリングで話題になってますが、これはまぁ、一般的に賛成反対という性質のものではなく、個別企業の事情次第といったところではないでしょうか。

「機械化」や「PCの普及」になぞらえる向きもありますが(今では笑い話なラッダイト運動とか)、これらは”生産性向上”というまさに利益/所得の向上に直接結びつく現象だったわけで、経済原理に従って急速に受け入れられたわけです。

「英語公用語化」は必ずしも生産性をあげるわけではありません(むしろ今の日本企業だと一般的には下がる)ので、これらの現象と同一視していいのかはちょっと疑問があります。当たり前のことですが、海外に支店をもったり、グローバル展開したいのであればさっさと英語にしたほうがいいし、そうでないならその必要はない。企業単位のコストベネフィットの話だと思います。

日本人よりはるかに英語のうまい、ヨーロッパ人達だって、同国人同士で無理に英語を使ったりはしません。とにかく例外的に英語のうまいオランダ人達は別ですが。

とはいっても、バックオフィスシステムの英語化ぐらいは後々のことを考えるとやっといて損はないかもしれません。そのくらいの英語化であれば、単語がわかれば対応可能なので純粋日本人スタッフでも存外なんとかなるものと思われます。それでも厳しければ駅みたいに日英併記とか。システムを海外にもっていったときに共通で使えれば、コスト削減効果は大きいかと。

なお、海外オフィスにいくと、当たり前だと思っていたシステムがなかったりするものです。単純な例だと、請求書の管理システムがないから、誰がどんな債権持ってるかわからないとか。うーん、レベルが低すぎるかな・・・。でも現実だったりします。

まだあんまり深く考えてないのですが、社内英語化は、必要であればおやりになればいいし、みんながやる必要もないのでは、という結論でしょうか。それよりもなによりも、このようにしっかりビジョンを示される経営者をお持ちであることがうらやましい。効果のほどはともかくとして。

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2010.07.03

MBAをとると経営者になれるのか

今日元上司の方から

  • MBAで何勉強してるの?
  • そんでそれを学んだら経営者になれるの?

という素朴の質問をいただきました。ま、MBAで学んでいることは今までもブログで紹介してきましたが、大体どこの学校でも学ぶいわゆる”コア科目”が

ファイナンス、会計、経済学(ミクロマクロ)、マーケティング、戦略論、組織論

といったところでしょうか。で、選択科目では個々のエリアを深堀していきます。僕の印象だと、MBAって学際的で”いろんな専門科目のつまみ食い”という評価です。効率の問題はあるにせよ、学ぶだけなら必ずしもMBAじゃなくて他の方法でも(OJTや読書など)可能だと思います。

でも、これらの知識は経営者の基礎体力みたいなものでして、それはそれで必要だけど、その上で個々のスポーツに応じた”特訓”が必要なんだと思います。例えば、MBAの卒業生にいきなり自動車会社の経営をやらせても、できるわけがない。製品そのものに対する技術的な知識、競合会社の知識、チャネルに対する知識、消費者に対する知識、社内外のネットワーク、そういった知識や人脈も経営者ならば当然必要になると思うのですが、これはやっぱり自分で”体得”していくしかないわけであります。

ということで、MBAで勉強してわるいこたないと思うのですが、それだけでは圧倒的に経営者としては不十分。学位取得後も「俺は経営者になるんだ」という野心なりをいだいて努力をするかはこれまた本人しだい。また「お前は勉強好きだなぁ」といわれそうですが、結局MBAを終了しても、学ぶということに終わりはないなぁ、と思うのでした。

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