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2010.12.06

貧困あれこれ

先日テレビで「スラムドッグ$ミリオネア」をやっていたので見てしまいました。2008年のアカデミー賞受賞作なので、「まだ見てなかったの?」といわれても返す言葉がございません。

映画の内容についてはまだご覧になられてない方の為に詳細の既述を避けますが、スラムで育った青年がインド版「クイズ・ミリオネア」に挑戦するというもの。ただ、このクイズ番組はどちらかというと”おまけ”で、彼の短い人生の描写がメインストーリーです。その意味では、

Slumdogmillionaireposter

この「億万長者になって美女ゲットでやったぜー」的な画像よりも(というか誰だこれを作ったのは。多分インドサイドでしょうけど)、

Slumdogmillionaire10

この画像の方が映画の趣旨を語っているといえるでしょう。ストーリーがやや予定調和で、もうひとひねり欲しいところですが、インドの貧困層の描写は迫力がありお勧めの映画です。ちなみに僕にはエンディングの踊りが意味不明でした。

この「スラムドッグ」ですが、日本語で聞いたときはなんとも思わなかったものの、映画の中ではまさに「スラムの犬」という意味で、主人公の代名詞として使われております。ご存知のようにインドといえば、BRICsの一角として脚光を浴びているものの、同時に貧困大国です。Povtrends_large4
出所:世銀

上の表は世銀による、1日1.25ドル以下で暮らしている絶対的貧困層の推計です。インドでは12億人の人口のうち、約4割(5億人)が貧困ラインよりも下の生活ですので、世界最大の”貧困大国”といえそうです(データソースによってばらつきが大きいので目安と捉えてください)。つまりは、人間である貧者を「犬」とさげすんでもなんら不思議はない環境なのでしょう。

上の図で見ると貧困層の総数は減っておりますが、これをエリアごとの折れ線グラフにすると、

Povtrends_large5
出所:世銀

中国のみこの20年で劇的に貧困層が減少したものの、その他の地域ではあまり貧困は減ってないことが分かります(人口が増えているので率は低下してます)。賛否はあるものの中国の発展は国境を越えた経済活動の結果であり、4億人以上の人達が貧困ラインから抜け出せたことは、まさにグローバリズムの成果ともいえるでしょう。

一方で、その他の国では貧困の改善に目覚しい効果があったとは言えず、反グローバリズムの「多国籍企業が貧困層を搾取している」というのも一面の真実だと思います。さらに、中国においても、都市部でも農村部でもジニ係数が急激に上昇しており格差の拡大は否定できません。このような格差の拡大は社会の不安定化(犯罪の増加など)をもたらします。

僕自身は、国内であれ世界であれ、援助ではなくビジネスこそが貧困脱却からの鍵であり、その点では先進国からの投資、すなわちグローバリズム自体は推進すべきだと考えています。ただ、その恩恵は放置すると極めて偏った分配がなされ、さらに環境への配慮などがなされないことも事実でして、そのような負の側面をいかにコントロールすべきかが問われています。

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おまけ: この映画の監督はイギリス人(メイン)とインド人(サブ)。インドとイギリスの結びつきは強いのである意味不思議ではありませんが、イギリス人監督がこの映画を撮るというのはやっぱり大したものだと思います。日本人監督がこれぐらいのスケールの映画を撮る日がくるんでしょうか。

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