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2010.12.09

質の高い授業

LBSのひとつ上の先輩と話していたときに、授業評価の話になりました。詳細は忘れてしまいましたが、LBSの学部卒生を対象としたコース(MIM)の生徒から非常に評価が高かった教授(スタンフォードでも最高評価だったそうです)に、授業方法についてインタビューをしたそうです。

「自分はMimの生徒だからといってレベルを下げることはしない。MBAでもEMBAでも同じクオリティの授業を提供する」

と答えたとか。確かに年齢に関わりなく一流の授業を提供することが大事だというのは、そのとおりだと思います。

51h9kjemvl_ss500__2 それでも、日本人は「戦争」を選んだ

こちらの本は東大の歴史学の教授が栄光学園の中高生20人を相手に5日間で日清戦争から太平洋戦争までを通覧したときの講義ノートという形式です。

著書は、圧倒的な国力の差にも関わらず、日本がなぜアメリカとの戦争への道を選んだのか、個々のプレイヤーはどのようなロジックに基づいて判断を下したのかという点に焦点をあてます。大雑把に言うと、当時の社会階層の断絶(貧しい農民と地主の格差)、国際情勢の認識の違い、個々のプレイヤーの利己的な動機や希望的観測など、いくつもの要素が折り重なって、結果的に大きな方向性を誤ったということですね。

このような立場からは「当時の世界情勢の中では日本に他の選択肢はなかった」という見方が否定されます。制約条件はあったが、全ての意思決定が強制に基づくものとは到底言えず、いくつもの局面で間違った判断を積み重ねてきたということになります。

なお、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」とは有名なビスマルクの言葉ですが、「単に歴史を参照すればいいってものじゃないよ」ということもこの本で語られています。

政策を形成しようとする者は、自らがこれから判断しなければならない問題を考えるとき強いプレッシャーを感じつつ、歴史のなかから類推例を必死に求めようとします。(中略)

しかし、その過去の歴史について、真実がすべて明らかになっているわけではなく、また人々が思い浮かべる過去の歴史の範囲はきわめて限定されてしまっている、人々は、自分がまず思いついた事例に囚われてしまうものなのだ。

重要な決定を下す際に、結果的に正しい決定を下せる可能性が高い人というのは、広い範囲の過去の出来事が、真実に近い解釈に関連付けられて、より多く頭に入っている人、ということになります。

「ベスト・アンド・ブライテスト」といわれるような人達が、意識的にせよ無意識にせよ、都合の良い歴史を誤用してきた例は枚挙に暇がない、と、こういうわけですね。若いうちに偏ることなく歴史を学ぶ意義がひしひしと伝わってきます。こういう問題意識をもった先生なら、歴史暗記大会を強要することはまずないでしょうから、授業も楽しいでしょう。

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おまけ: 現代の日本の政策決定者はどれだけ歴史を勉強してるんでしょうかね・・・。そもそも判断することから逃げているのでは論外ですが。

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