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2011.01.19

家の寒さと地球温暖化

ロンドンに戻ってきました。東京では会う人会う人に「ロンドンは寒いでしょ」といわれるのですが、なんとなく体感気温だと東京とロンドンはそう変わらず。むしろ家の中は圧倒的に日本の家の方が寒い。

実家は東京郊外、築30年の木造一軒家なのですが典型的な日本の家なので夏の「酷暑」を基準にして作られています。冬になると部屋の中が寒い寒い。ひるがえってヨーロッパでは冬の寒さを前提に家がつくられているので、壁と窓は厚くセントラルヒーティングで家全体があったまります。

ここまでは単なる感想だったのですが、帰りの飛行機で読んだ本に「いやいや、個人の感想で終わらせてはなるまいぞ」という問題提起がありました。

41lynbo2ql_sl75_ 低炭素社会 (幻冬舎新書)

著者は元東大総長の小宮山氏。多くの人が嘲笑した鳩山首相の「温室効果ガス25%削減」を達成可能な目標である、と主張しています。要約すると

  • 産業面では日本は世界でもトップクラスのエネルギー効率性を誇り、ここの大幅な削減は確かに難しいが、家庭部門(全体の39%を占める)ではまだ削減の余地は大きい。
  • 家庭部門で排出量が大きいのはエアコンであり夏より冬の方がエネルギー消費量が大きい(夏:外気35⇒28度、冬:外気5度⇒20度。さらに暖房使用期間の方が長い)。
  • 日本の家は断熱性が低いので例えば二重窓にするだけでも大きな効果がある。
  • 最近の家電のエネルギー効率性の向上は特筆すべきものがあり、古いものがまだ使えるとしても積極的に買い換えるべし。

081222_004
日本の一般的な住宅。窓が大きくて風通しも良い。

こうすると光熱費も節約されるので個人としてもメリットがあります。首をかしげる仮定や記述も散見されますが、全体のメッセージはクリアーで説得力があります。

環境問題に対しては色々な人が、色々なことを言っています。...「江戸時代に生活を戻すのが一番」「生活様式を変えてエネルギーを使わないようにすべき」といったことを言う知識人もたくさんいます。

郊外や田舎の一軒家に住んでいて、冷暖房を使わないという人はそれでいいでしょう。自給自足で、エネルギーを使わない生活を実現されている人は尊敬に値します。しかし、実際はそういう人は少なく、ほとんどの人は冷暖房を使っています。...

郊外だからこそ可能な昔ながらの生活を、3000万人の人口がいる東京周辺や京阪神地区の住民に強いるのは無理があります。現実の都市のくらしを無視して「昔ながらの生活に戻れ」などと言っても仕方がありません。

大都市に住んでいる人には理解してもらえると思いますが、都市部で「エアコンを使わない生活」はほとんど無理です。社会全体が真夏に汗だくになったり、真冬に震えながら仕事をしていては、効率も落ちて社会的な損失となります。それよりも断熱を高めて効率を何倍にもあげればいいのです。

技術の力で社会問題を解決しよう、という科学者の意気込みを感じますね。「安易に原子力に頼っていいのか」とか「家電廃棄の処理費用や補助金までも含めたトータルの社会的負担を考慮してもなおリプレイスが奨励されるのか」とか色々つっこみどころはありますが、とりあえず住宅に対する考え方はちょっと変わりました。

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おまけ: もう慣れましたがこちらでは「換気」「日当たり」という要素がほぼ考慮されないようです・・・

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