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2011.03.02

みんなの党の予算案

先日Twitterでのやりとりからふと興味がわいたので、みんなの党の予算案をみてみることにしました。

みんなの党、予算修正案まとめる
行革で歳出大幅カット 2011.2.25 19:15(産経)

みんなの党は25日、子ども手当廃止や国会議員と公務員の人件費削減などで歳出を大幅にカットした平成23年度予算案と予算関連法案の修正案を発表した。政府案が一般会計総額92兆4千億円に対し59兆8千億円の緊縮予算で、国債発行額も政府案の44兆3千億円に対し17兆7千億円に縮減した。現行40%の法人税率を20%まで引き下げて経済成長を目指す。

Agenda2010_2

さっきGoogleで検索したら産経しかとりあげてなかったので(見逃しているかもしれませんが)、やはり大手メディアはまともに取り合ってないのかなぁという気もします。が、僕自身はこの予算案をみて勉強になった部分もあるので、気づいたことをつらつらと書いてみたいと思います。

まず法人税の減税(3.7兆円)+公債費減額(25.2兆円)で歳入が30兆円近く減るわけですが、その分の歳出も減らすというのは信じがたい話。どうやって帳尻合わせをしているかというと、、、

1.資産売却(8.5兆円)

2.民主党政策の廃止(4.9兆円)

3.経費削減(9.8兆円)
 -人件費の2割カット(2.3兆円)
 -経費カット(4.2兆円)
 -歳入庁創設による歳入増(3兆円)

4.定率繰入の停止(9.8兆円)

大枠の議論をしたいので、細かい費目の付け替えは取り上げません。

1)資産売却収入

一見して分かるのは資産売却収入は一回こっきりということです。8.5兆円の収入は翌年増税で賄うのでしょうか。それが悪いわけではありませんが。

2)人件費削減のインパクト

もうひとつ面白いのが人件費を2割もカットしてもせいぜい搾り出せるのは2兆円ちょっとにすぎないということです(公務員人件費の総額が27.6兆※1なので控えめな数字ですが)。

2)経費カットは費目が大事

人件費よりも大きなインパクトを与えるのは「補助費のカット」という4兆円ですが、この内容が明らかではありません。これは我々が民主党で学んだことですが、費目の明らかでない「歳出カット」ほど信用ならないものはありません。

3)収入増の根拠

歳入庁創設による3兆円の増収は不思議な数字です。仮に未納問題が完璧に解決したとしても国民年金勘定の保険料収入は1.7兆円(未納率4割)※2なので、最大限1.1兆円しか増えないと思うのですが・・・。他になんかあるんですかね?年金会計は複雑なのであまり自信がありません。

4)定率繰入停止とは

この費目の削減が10兆円近くあってインパクトが大きいです。国債はいきなりドカンと元本償還が来ないようにちまちま借り換えしつつ元本を返していますが、それをしばらくやめるということです。そうするともちろんその期の支出は減りますが、将来償却期間が来たら先送りした分をまとめて返さなければなりません。

つまり「借りるのをやめる」代わり「返すのもやめる」と言っているだけであり、金利状況にもよりますが公債発行残高の減額という趣旨からは本質的に意味は有りません。「こつこつ返していく」という決まっていたルールを政治的パフォーマンスで歪めるのはあまり好ましいとは思えませんね。まるでみんなの党がすごいことをやって国債残高が減ったかのような誤解を与えます。


そんなわけで怪しさで言えば民主党のマニュフェストといい勝負(むしろ金額がでかい分勝ってる)というのが個人的評価です。少なくとも資産売却分に関しては翌年からの恒久財源を明示すべきでしょう。定率繰入の停止はそれほど意味がありません。これだけで計画の3分の2が吹っ飛んでしまいます。

個人的には財政再建は増税と(実質的な)歳出削減で達成すべきものと考えています。制度設計をひとつひとつ修正して負担増をお願いする地道な作業でしょうが、それ以外に道はないと思います。

財務官僚諸氏は匿名でいいのでフォローよろしく、、、つっても反応無いだろうな。

※1 財務省資料より(PDF)
※2 
厚生労働省HP 納付率(PDF)

追記:

友人より「3.5兆円もの株式売却や国有資産の大量売却を1年間でやったら市場を崩壊させるのでは」という指摘がありました。そりゃそうかも。市況にもよりますが。

なお、本文ではふれてませんが、たとえば20兆円もの歳出削減を行ったら名目GDPの4%分以上のマイナスですから、多分けっこうな不況になり失業率もあがるでしょうね。

ついでに言えば、僕も財政再建はすべきだと思いますが、まず時間をかけることと(最低でも5年以上の計画)、社会保障制度の改革が不可避だと思います。

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