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2011.03.25

自然災害が経済に与える影響 (1)

震災関連のチャリティ活動も落ち着いてきて、イギリスのニュースからも段々と日本関連のものが少なくなっていきました。僕の生活も日常に戻りつつあります。

で、経済のレポートの宿題があったので今回の震災が経済に与えるインパクトについて調べてみることにしました。既存の論文についてはeliyaさんが紹介していたこちらのレポート(Cavallo, E. & Noy, I. " The Economics of Natural Disasters )によくまとまっています。

1)一般的なケース

まず、自然災害は物的資本(建物や工場)、さらに人的資本を破壊します。ここに争いはありません。しかし、よく経済力の指標として使われるGDPは平たく言えば「生産量」です。自然災害は「生産量」にどのような影響をあたえるのでしょうか?

ベーシックな成長会計の考え方では、生産を変化させる3つの要素を想定します。資本量、労働量、TFP(その他生産に影響を与える要素)です。自然災害に見舞われた場合、このうち直接的な被害として資本量と労働量のインプットがマイナスになります。さらに、通常の生産体制が組めないわけですからTFPも恐らく下がるでしょう。分かりやすく言うと、工場が無くなって、人が死んだらそれは生産量は下がるでしょう、ということです。

しかし、被害を受けた国にそれなりの経済力があれば、直ちに復興工事がはじまります。つまり、資本量のインプットがプラス方向に転じ、これは当然GDP成長を押し上げます。

S50_pho_big_01
(阪神大震災復興工事)

GDPへの影響はこのプラスとマイナスの合計で考えることが必要です。

ということで、上記のレポートでは「自然災害はGDP成長にプラス効果となる」「小さい災害はGDPにプラスの効果を与えるが、大きな災害はマイナス」「その国の識字率や技術レベル、経済規模によって変わってくる」などの色々な議論が紹介されています。しかし、一応まとめとしては「短期的かつ平均的には自然災害は経済成長にマイナスの効果」というのが概ねのコンセンサスのようです。

では、長期的(5年以上)にもなんらかの影響が残るのでしょうか。当然ながらこれはさらに推計が難しくなり、「シュンペーターの言う『創造的破壊』がおこり経済成長を押し上げる」(=古い制度や設備が更新されるのでプラス)というものもあります。「短期的にも長期的にも自然災害の影響は常にマイナスである」というものもありますし、「長期的には何ら影響を与えない」というものもあります。例のレポートの結論は、どういう因子と過程で影響があるのかよくわからないのでさらなる研究が必要、ということでした。

以上は世界中の自然災害の事例を集めて分析したものです。では、日本のケースではどうなるのでしょうか。

(続く)

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