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2012.01.15

新聞業界雑考 2

前回の続きです。

2.新聞業界の今後についてあれこれ

さて、以上のことから新聞業界もいよいよ後がなくなってきたことが分かるわけですが、新聞社としてはどういう打ち手があるのでしょうか。20年後はともかくとして、これだけネットが普及してきたわけですから、10年程度のタイムスパンでいくつか方向性について考えることも可能でしょう。ということで、思いついたことをメモ程度に。「ジャーナリズムかくあるべし」論はとりあえず脇において、まずは純粋に企業経営として考えます。

考察の第一前提として、紙の発行部数は今後急減していくとします。少子高齢化だけではなく、年代が下がれば下がるほど購読率が下がっているわけですから、この大きな流れはもはや避けることはできないでしょう。

第二に、プリントからネットに送信媒体を変更した所で、従前ほどの収益をあげることは不可能とします。というのも、新聞を読まなくなった世代が「ネットなら有料でも読もうか」と考えるとはちょっと考えづらいからです。少なくとも大幅な値下げが必要でしょう。もっともこれは裏付けがあるわけではないので、僕の個人的な考えです。

そうすると考えられる可能性として・・・

A. 中央紙と地方紙の棲み分けが進む

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大阪のローカル紙として始まった朝日新聞(朝日新聞Websiteより

このまま各新聞社が規模の縮小を続けていけばこうなるだろうな、という気がします。つまり、いわゆる中央紙といわれるところは売上減に対応して、コストを削っていくしかないわけですから、地方支局を維持することは難しくなっていくでしょう。そうなると、地方は地方紙しかなくなって、中央、というか東京・大阪ぐらいにいわゆる読売、朝日、日経あたりが残るというストーリーが考えられます。

よく言われるように日本の新聞社の発行部数がある意味異常であり、海外ではもっとエリアや内容に従って細分化されています。なので、こういう形に移行するのは充分に考えられるストーリーかな、と。

B. 大手新聞社が合併する

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News Corporation:ルパート・マードック率いる世界最大のメディア・コングロマリット

マスメディア集中排除原則とかありますが、そもそも経営が成り立たなくなれば四の五言ってられませんから、早めの打ち手として大手新聞社が合併して規模の利益を追求するということは論理的には考えられます。

新聞発行部数が急減しているわけですから、輪転機の稼働率は下がっているでしょう。システム投資も重荷になっているはずです。であれば、合併してそうした二重投資を無くし、総務・人事・経理等の間接部門を統合する。地方支局も統廃合する。うまくいけばある程度は生き延びることができるでしょう。

とはいえ、この手の合併がうまくいくのはレアケースであり、各紙によって相当企業文化も違うでしょう。縮小均衡を座して待つぐらいだったら、危うい所が先手をうって合併する方がいいと僕は思うのですが、現実的にはちょっと難しいかもしれません。


まぁ、大体この2つの流れのうちのどちらかになるのではないでしょうか。他にも何かあるかもしれませんが、今はちょっと思いつきません。どちらになるのかは、事業環境の推移に加えて、何よりも新聞社の経営者の「意思」が大きなファクターです。

とりあえず、どの新聞も似たような紙面を作っている限り、市場が縮小すれば必然的に淘汰されていくでしょう。その時は差別化しない限り体力勝負になるわけですから、一般論としては小さいところから消えて行くものと考えられます。

そう考えると地方紙は各県で独占的な地位を築いているので、意外としぶといような気もします。むしろクオリティが下がると他紙に乗り換えられてしまう中央紙の方が先にきついのかなぁ、と。

蛇足ですが、ジャーナリズムのあり方として望ましいのはどちらか?AはAでいいような気もしますが、権力の監視という意味ではBのように大きな中央紙が生き残ってくれたほうが有効かもしれません・・・が、生き残った大新聞が腐敗したらそのときの被害はちょっと想像できません。やっぱりメジャーどころは複数生き残って欲しい。

ちょっと考えただけなので、結論らしきものは特にありません。引き続きテレビも含めて考えていきたいと思います。

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新聞業界雑考 1

日本のジャーナリズムって今後どうなるんだろう、あるいはどうすべきなのだろう、ということについてたまーに考えるので、とりあえず未だにマスメディアの中心的存在のひとつである新聞業界についてデータを漁ってみました。

基本的に新聞社は非上場のオーナー企業なので情報公開範囲に限りはあるものの、有価証券報告書が公開されているので、朝日、毎日、日経はデータがみられます。めんどくさいので朝日だけデータを整理すると以下のとおりです。ただ、他紙をチラ見をした限りでは新聞社は概して厳しいです。

1.財務諸表の話

【朝日新聞主要財務指標(2003-2011)】単位:百万円

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出所:EDINET
※クリックすると拡大します

ということで、これをみると新聞不況だなんだと言われながら、2008年までは財務的にはなんとか持ちこたえていたことが分かります。リーマン・ショック以降は惨憺たる有様ですが。といってももちろんそれ以前もそれなりな影響はあったようで・・・

【朝日新聞 連結従業員数(2003-2011)】

Asahi_graph4
出所:EDINET
※クリックすると拡大します

これをみると、2005年以降グループ全体で従業員数が減っており、リストラに着手したことが分かります。当然非正規雇用の削減が先行してますね。ピーク時に3800人いた臨時従業員数が現在1580人程度。新聞紙面では「派遣切り」だとか「雇い止め」を糾弾しているわけですが、なんのことはない、「派遣村」が話題になる前から当の本人達が率先してやっているわけです。社民党みたいなものですね。

なお、それをダブルスタンダードだとして責めるのは多分違うだろうと思います。道義的であろうがなかろうが、非正規雇用を削減するのは「現行雇用法制」と「低成長時代」を前提にしたときに「企業が持続可能性を維持する為の合理的行動」であり、競争環境が存在する限りは避けることはできない、というだけのことでしょう。

さて、それはともかく2009年に大赤字を計上したわけですが、2011年に一定程度回復して黒字転換しています。トップライン(売上)があがったわけではないので、それは当然コストを削るしかないわけですが、実際に単体の従業員数はここ5年間で1割減となり、給与を2010年に大幅に引き下げたことがわかります。多分2009年の赤字をきっかけにして給与体系の労使間合意に至ったのでしょう。

【朝日新聞 単体従業員数・平均年収(2007-2011)】単位:千円

Asahi_graph2
出所:EDINET
※クリックすると拡大します

財務諸表上の人件費総額をみると必ずしもこのとおりに下がってないので(新聞は給与の他に労務費として原価計上している)、まぁ費用計上としては色々あるんだろうとは思いますが、給与水準を低下させているのは間違いないでしょう。

昨年早期退職費用を55億円程度計上していますが、150人辞めさせたとすれば一人あたりの割増退職金は3600万円ですね。普通年収の倍程度が割増退職金としての良好な条件と言われているので、年収水準を考えると破格といってもいいかもしれません。通常の退職金ももらったとすれば、1億円近いでしょう。まだキャッシュは600億円以上ありますから、クビきりだなんだので万一法廷係争になって他紙に揶揄されるよりまし、ということでしょうか。

【朝日新聞 単体平均年齢(2007-2011)】

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出所:EDINET
※クリックすると拡大します

普通早期退職は中高年から切っていくのですが、それでも朝日新聞社内で高齢化が進んでいることが分かります。まだ抜本的なリストラに着手してないので、当然といえば当然かも知れません。しかし、いずれどこかの時点でこのグラフ傾向を反転させて組織の若返りを図らなければ、企業として存続することが難しくなるでしょう。

思ったより長くなったので、ページを分けます。

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2012.01.01

あけましておめでとうございます

今年も宜しくお願いいたします。

さて、なかなか更新できない当ブログですが、時間的都合よりもやはりインプットの問題かなという気もします。「ネタ」がないのに書くほどのモチベーションも沸かない、というか。でも年頭なので去年やったことの所感を書き散らしつつ、今年やりたいことに触れてみたいと思います。

昨年は夏にMBAをとりまして帰国しました。で、留学前の会社に戻って今は経営企画のお仕事をしています。とりあえず本当にやりたいことのつなぎの日銭稼ぎとして、のつもりだったんですが今の仕事がかなり面白い。直接の上司ではないものの、実質的に取り仕切っている方(50代)が Insightful というか、周囲と考えていることのレベルが違うと言うか・・・大組織の”経営”という業務経験を積ませてもらいました。

1.トップダウンの思考

手垢のついた言葉ではありますがこれが昨年仕事を通じて学んだ第一のことかと。踊る大捜査線に象徴されるように、日本は「現場信仰」の強い国なのかなぁ、という印象があります。片や西欧はリーダーシップ重視。

日本の会社経営でよくあるパターンは、経営トップが「現場の為に」と言い、現場社員が「それだと現場がまわりません」と言うと大抵の主張は通る。実際経営者が現場社員におんぶに抱っこなのは一面の真実ですし、波風立てずにやるのなら仕事サボって下にやらせとけばいいわけです。

ですがやっぱりそれって、「現場の視点」でしかない。乱暴にまとめると、ボトムアップ意見の集合体は現状維持に限りなく近いのです。個々の意見にはラディカルなものもありますが。もちろん、経営層の持っている情報と現場の情報に非対称性もあるので、思考方法の差だけでもありません。

経営が順調なときはボトムアップ運営でよいでしょう。でも、事業構造の大きな変革はそれではできない。件のリーダーの方に言わせると「俺達は経営会議のスタッフなんだから、ボードメンバーだけを見ていればいい」ということになります。これだけ聞くと、”現場を無視する頭でっかちで傲慢な人達”だと思われそうですが、背後にはこういう問題意識があります。

2.NPO活動と組織

仕事はそんな感じでしたが、プライベートではちょこまかNPOのお手伝いや被災地でボランティアやったりしてました。で、奇しくも仕事と似通った感想を抱いたのが組織運営の大切さ。結局NPOだろうが、会社だろうが、複数の人間を束ねて何かをやらなければならない、という点では何も違いはないのです。

例えば被災地のボランティア。「被災者の為に何かをやろう」と思っても、我々に何ができるでしょうか。僕は仙台に行って、ボランティアセンターで具体的なミッションを与えられる。仕事内容、派遣先、道具まで支給。作業所への移動手段も提供されます(流されてきた自転車だったり、バスだったり)。そこまでいって、初めて”何かやろう”が”これをやろう”に変換できる。

教育関係のNPOを手伝ったんですが、状況は同じ。その組織には若いけど非常にカリスマ性のあるリーダーがいます。この人の言っているとおりやれば何かできるんじゃないか、Make it better place になるんじゃないか、という気がしてくる。僕が協力したのもその点が大きいのですが、どうしても組織運営としては未熟な所が多い。そうなると、せっかく大勢の人や多少なりとも資金が集まっているのに、無駄が多くなるんですよね。

個々のスタッフの状況に応じた適格なミッションも与えられないので、せっかく集まったスタッフが離れてしまうということもよく起こる。僕もフルタイムでコミットできませんし、責任も取れない立場なので、あまり口出しはしてないのですが。やはりビジョンだけでも、カリスマ性だけでも、オペレーション業務をやるスタッフだけでもダメなんですよね。それを組織行動に仕立て上げる方法論とやったことのある人達がいないと。

3.今年の活動計画

仕事の方は結構ペースが掴めてきましたし、長期/短期ともに具体的な目標がみえているので、これを Work Life Balanace を保ちつつ実現する。

プライベートの時間を少しとって、何か自分でイニシアチブをとれる社会貢献活動をやりたいなぁ、という気がしてます。こちらはまだ具体的なアイディアになっていませんが。ひとつ考えるヒントになったのは、去年やった障害者雇用の企画。

日本企業は一定の条件のもとに全従業員の1.8%まで障害者を雇用しなければならないことになっているんですよね。人数が足りないと一人あたり5万円の罰金を払わなければならない。たまたまそういうのに関わっている友人ができたので、うまく自分の会社の企画に仕上げることができました。

こんときは自分の部署が部署だけに情報を集めるのも楽でしたし、担当者を探すのスムーズ。まだ企画段階ですが、これで障害者の雇用が実現すれば、自分の会社にとっても、社会的にも異議のあることになるはずです。

なんかこういう具合に、他人の活動のパーツをお手伝いするよりも、自分が今持っている資源の有効活用方法を自分で考えたほうが、社会的に還元できる付加価値は高いのかな、という気がしています。


てな感じでしょうか。何はともあれ、今年1年引き続き宜しくお願いします。

P.S. 自分が今の部署に所属できたのは、MBAのシグナリング効果のおかげといっても過言ではないでしょう。「そういうことをやりたくて、自分で勉強したというのなら、いっちょやらせてみよう」という具合になりましたので。あと、勉強したこともまさに今の仕事に活きてます。周りをみてると、こういうケースはレアケースみたいですけどね。

MBA受験生はセカンドラウンドの出願のギリギリのタイミングでしょうか?昨今は日本人採用が絞られているみたいで厳しいでしょうが、まぁとりあえずここは歯を食いしばって頑張るしかないですよね。LBSに関するご質問があればいつでもご連絡ください。

あ、ブログ引越ししなきゃな・・・

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