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2012.01.15

新聞業界雑考 1

日本のジャーナリズムって今後どうなるんだろう、あるいはどうすべきなのだろう、ということについてたまーに考えるので、とりあえず未だにマスメディアの中心的存在のひとつである新聞業界についてデータを漁ってみました。

基本的に新聞社は非上場のオーナー企業なので情報公開範囲に限りはあるものの、有価証券報告書が公開されているので、朝日、毎日、日経はデータがみられます。めんどくさいので朝日だけデータを整理すると以下のとおりです。ただ、他紙をチラ見をした限りでは新聞社は概して厳しいです。

1.財務諸表の話

【朝日新聞主要財務指標(2003-2011)】単位:百万円

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出所:EDINET
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ということで、これをみると新聞不況だなんだと言われながら、2008年までは財務的にはなんとか持ちこたえていたことが分かります。リーマン・ショック以降は惨憺たる有様ですが。といってももちろんそれ以前もそれなりな影響はあったようで・・・

【朝日新聞 連結従業員数(2003-2011)】

Asahi_graph4
出所:EDINET
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これをみると、2005年以降グループ全体で従業員数が減っており、リストラに着手したことが分かります。当然非正規雇用の削減が先行してますね。ピーク時に3800人いた臨時従業員数が現在1580人程度。新聞紙面では「派遣切り」だとか「雇い止め」を糾弾しているわけですが、なんのことはない、「派遣村」が話題になる前から当の本人達が率先してやっているわけです。社民党みたいなものですね。

なお、それをダブルスタンダードだとして責めるのは多分違うだろうと思います。道義的であろうがなかろうが、非正規雇用を削減するのは「現行雇用法制」と「低成長時代」を前提にしたときに「企業が持続可能性を維持する為の合理的行動」であり、競争環境が存在する限りは避けることはできない、というだけのことでしょう。

さて、それはともかく2009年に大赤字を計上したわけですが、2011年に一定程度回復して黒字転換しています。トップライン(売上)があがったわけではないので、それは当然コストを削るしかないわけですが、実際に単体の従業員数はここ5年間で1割減となり、給与を2010年に大幅に引き下げたことがわかります。多分2009年の赤字をきっかけにして給与体系の労使間合意に至ったのでしょう。

【朝日新聞 単体従業員数・平均年収(2007-2011)】単位:千円

Asahi_graph2
出所:EDINET
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財務諸表上の人件費総額をみると必ずしもこのとおりに下がってないので(新聞は給与の他に労務費として原価計上している)、まぁ費用計上としては色々あるんだろうとは思いますが、給与水準を低下させているのは間違いないでしょう。

昨年早期退職費用を55億円程度計上していますが、150人辞めさせたとすれば一人あたりの割増退職金は3600万円ですね。普通年収の倍程度が割増退職金としての良好な条件と言われているので、年収水準を考えると破格といってもいいかもしれません。通常の退職金ももらったとすれば、1億円近いでしょう。まだキャッシュは600億円以上ありますから、クビきりだなんだので万一法廷係争になって他紙に揶揄されるよりまし、ということでしょうか。

【朝日新聞 単体平均年齢(2007-2011)】

Asahi_graph3
出所:EDINET
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普通早期退職は中高年から切っていくのですが、それでも朝日新聞社内で高齢化が進んでいることが分かります。まだ抜本的なリストラに着手してないので、当然といえば当然かも知れません。しかし、いずれどこかの時点でこのグラフ傾向を反転させて組織の若返りを図らなければ、企業として存続することが難しくなるでしょう。

思ったより長くなったので、ページを分けます。

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コメント

どうでもいいのですが、
道義的に正しい・間違っていると
ダブルスタンダードは別の層に属する問題ではないでしょうか

正当防衛で人を殺したことのあるA氏が
新幹線に飛び込んできた人を跳ねたB運転士のことを
いついかなる時も人の生命を奪ってはいけない、運転士は村八分にしてやっつけろ、
と主張したら
オイオイ
と言われざるをえないのではないでしょうか。
A氏が言うべきことは他にあるとおもいませんか

投稿: S | 2012.01.18 21時48分

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